ビートルズ、ジョン・レノンの歌声をAIで復元 すでにAIで再現された名曲も複数存在

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イギリスのロックバンド、「ビートルズ」のメンバーだったポール・マッカートニーさんが、2023年6月13日放送のBBCラジオ4の『トゥデイ』で、ビートルズの「最後の曲」を完成させたと明らかにしました。

人工知能(通称:AI)によって古いデモ音源から、亡くなっているジョン・レノンさんの声を抽出して完成。

ポールさんは、「完成したばかりだ。年内にリリースされるだろう」と話しています。

BBCなどによると、曲名は1978年にレノンさんが作曲した「Now And Then」である可能性が高いそうです。

ポールさんは「ジョンの声とピアノの音が入っていたが、AIでそれらを切り離すことができた。機械に、これが声で、これがギター音だと教え、ギター音を消してくれと指示をして」と最新の技術で楽曲の完成にまでこぎつけたことを明かしています。

ポールさんの発表に、SNSではさまざまな意見が書き込まれました。

「AI技術はすごいな。ビートルズの最後の新曲はどんなものに仕上がっているのか、楽しみだな」

「デモテープからまだ発掘できていなかった最後の曲。こういう使い方もあるんですね」

「ジョン・レノンの声をAIで作り出してまったく新しい曲を作るのかと思ったら、デモテープから声だけ分離して取り出すってことね。そのAIなら、私もよく音声編集で使ってます」

「AIもここまで来たかと。 フレディ・マーキュリーがレコーディングできなかった曲もAIの手を借りて世に出されないかな」

実はすでに、さまざまなアーティストをAI化させて制作された楽曲は世に数多く出ています。

イギリスのロックバンド、「オアシス」の架空アルバム『Aisis』がファンによってAI技術で制作され、本人のリアム・ギャラガーさんが反応したことも。

「Breezer」というバンドが作曲した音楽に、ギャラガーさんの声をAIで再現したボーカルをミックスした作品で本人は、Twitterで「全部は聴いていないけど、曲は聴いた。今世の中に出ている音楽より良い」と称賛しています。

また、アメリカのロックバンド、Nirvana(ニルヴァーナ)の新曲も作成。

アメリカのアーティストで人気YouTuberのFunkTurkeyさんがAIで制作したもので、『Nirvana風』の新曲 「Smother」を発表しました。

Nirvanaのヒット曲からいくつかのワードが流用させて、1990年代の『グランジ』のムードを再現してYouTubeで楽曲を公開されています。

ほかにも、起業家イーロン・マスクさんの元妻でアーティストのGrimesさんは4月24日、ロイヤリティを折半することを条件に、自分の声を自由に使って曲を作っていいとツイッターに投稿。

AIを用いた音楽はさまざまな曲で制作されており、日本では亡くなった「XJAPAN」のhideさんのデモ音源「子ギャル」を、生前発表した曲からボーカロイドのように声のみを使用して完成。

また、2019年には「AI美空ひばり」さんが『NHK紅白歌合戦』に出演し、秋元康さんが作詞した楽曲「あれから」を歌唱して話題となりました。

AIを用いて、亡くなったアーティストが“復活”するケースは今後も増えていきそうです。

Text by 川崎 謙三郎