『スーサイド・スクワッド』のジョーカーは歴代と違う?2に登場しない理由とは
2021年に公開された『ザ・スーサイド・スクワッド 極悪党、集結(The Suicide Squad)』2016年公開のデヴィッド・エアー監督のDC映画『スーサイド・スクワッド』と同じ俳優陣が出演したが、ジャレッド・レト演じるジョーカーの姿はなかった。ストイックな役づくりで定評のあるジャレッド・レトだが、『スーサイド・スクワッド』のジョーカー役に関しては評価が分かれている。
本記事では、『スーサイド・スクワッド』のジョーカー役が賛否両論を巻き起こした理由について解説する。
目次
『スーサイド・スクワッド2』にジョーカーが登場しない理由
引用:Amazon
2021年に公開された『ザ・スーサイド・スクワッド極悪党、集結(The Suicide Squad)』は2016年公開の『スーサイド・スクワッド』の続編ではないのだが、一般的には『スーサイド・スクワッド2』と呼ばれている。
前作の監督はデヴィッド・エアーだったが、『スーサイド・スクワッド2』はジェームズ・ガンがメガホンをとっている。
『スーサイド・スクワッド2』の特徴としては、ジョーカーが登場していないことが大きい。その理由について、アメリカのニュースサイト「Desde Hollywood」のインタビューで、ジェームズ・ガン監督は次のように語っている。
いろいろなキャラクターを取り入れてみたいが、ジョーカーはその一人ではない。
引用:Desde Hollywood
多くの人によって魅力的に描かれてきたジョーカーではなく、まったく描かれたことのないキャラクターや自分と相性のよいキャラクターを取り入れることに興味がある。
これまで多くの作品に登場し、主役として物語が完成するほど個性の強いジョーカーのキャラクターが、ジェームズ・ガン監督の思い描く『スーサイド・スクワッド2』には似合わなかったということだろう。
『スーサイド・スクワッド』のジョーカーはかっこいい?
さまざまな映画で魅力的に描かれてきたジョーカー。『スーサイド・スクワッド』のジョーカーの評価を3つの角度から考察してみたい。
声優から見たジョーカーはかっこいい
『スーサイド・スクワッド』のジョーカーを吹き替えたのは、声優の子安武人。吹き替えを振り返った子安武人は、ジャレッド・レトの常軌を逸した感情表現にはほのかな色気があり、刺激的で楽しかったと語っている。
ジョーカー役をとことん追求したというジャレッド・レトの新しいジョーカー像は、声優の子安武人をもうならせる魅力があるようだ。
ジョーカーとハーレクインは賛否両論
『スーサイド・スクワッド』では、患者であるジョーカーに惚れてしまった精神科医のハーレクインが、ジョーカーによってヴィランへと変貌させられてしまうストーリーが描かれる。ジョーカーとハーレクインのお互いを大切に想う関係性は、観る人のジョーカーへのこだわりによって評価が分かれているようだ。
- ジョーカーとハーレクインの関わり方が、ジョーカーの異常性を和らげた
- ジョーカーがとにかくかっこいい
また、一方ではジョーカーらしくないとの評価もある。
- ジョーカーとハーレクインの関係が原作と違う
- ジョーカーがハーレクインを助けるという設定が受け入れられない
原作DCコミックスで描かれる狂気に満ちたジョーカーのファンとしては、『スーサイド・スクワッド』におけるハーレクインとの純愛的な描写は違和感を覚えてしまうのかもしれない。
『スーサイド・スクワッド』のジョーカーがひどいと言われる理由とは
『スーサイド・スクワッド』のジョーカーに対する批判には「ひどい」という声もある。歴代のジョーカーと比べて、本作のジョーカーがひどいといわれる理由は2つ。
- キャラクター設定が違いすぎる
- ジャレッド・レトの熱演が映画の世界観に合っていない
歴代のジョーカーとジャレッド・レトの演じたジョーカーの違いについて解説していく。
歴代のジョーカーとキャラクターが違う
もっとも著名なスーパーヴィランのひとりであるジョーカーは、さまざまな映画の悪役として描かれてきた。どのジョーカーも狂気じみた殺人や人を物扱いするなどのサイコパスなキャラクターとして存在感を放っている。
一方、ジャレッド・レトのジョーカーは「色気がある」「かっこいい」などの評価はあるがジョーカーとしての存在感は薄い印象だ。メイクもマットな感じで、歴代のジョーカーに比べて突き抜けた異常さを感じない。
直近で公開された他2作のジョーカーと比べてみよう。
映画名 | 演者 | 特徴 |
---|---|---|
ダークナイト (2008) | ヒース・レジャー | 理由なき殺人を繰り返す 絶対悪としてのジョーカー |
ジョーカー (2019) | ホアキン・フェニックス | 社会の底辺にいる青年が生き残るため にジョーカーへと変貌 |
スーサイド・スクワッド (2016) | ジャレッド・レト | 凶悪犯でありながら 世界の危機を救う任務を負う |
ヒース・レジャーとホアキン・フェニックスは、虐げられた人々がやむなくたどり着いた絶対悪としてのジョーカーを演じている。
一方、ジャレッド・レトの演じたジョーカーは、サイコパス的な部分を残しつつも恐怖を感じる存在ではなく、普通の感覚を持った人間のように感じられるシーンすらあった。ジョーカーらしさが感じられなかったことが、不評だった原因と考えられる。
ジャレッド・レトの熱演が世界観に合っていない
ジョーカー役を演じるにあたって、ジャレッド・レトはかなりのこだわりを持って臨んだようだ。ところが、実際の出演時間はトータルで10分ほどと、出番はかなり少ない。
理由として有力なのが、ジャレッド・レトの熱演が映画の世界観に似合わなかったという点だ。演技には定評があるジャレッド・レトだが、ヴィランたちが協力して悪に立ち向かうストーリーの中で、ジョーカーとしての狂気や恐ろしさを表現する演技が悪目立ちしているように感じたファンもいるようだ。また、全身タトゥーに銀歯という今までにないジョーカーのルックスは、直近のヒース・レジャーのジョーカーと比べて、異質に感じるという意見もあった。
一方で、ジャレッド・レトの演技を評価しているファンも多い。ジョーカーの出番がもう少し多ければ「うすっぺらいジョーカー」という評価は減ったかもしれない。
『スーサイド・スクワッド』のジョーカー役ジャレッド・レトの演技に対する情熱
ジャレッド・レトは役作りに対してストイックである。与えられた役を極めるために、私生活まで役柄に寄せていくほどだ。
『スーサイド・スクワッド』の撮影に際しては、どのようにジョーカー役に没頭していったのだろうか。
ジャレッド・レトのジョーカー役への想い
ジャレッド・レトはジョーカー役について、オリンピックに出場するのと同様に自分を変革しなければならなかったと語っている。歴代のジョーカーにはないものを追究しようとする姿勢は、ジャレッド・レトの演技に対する情熱の現れであろう。
しかし、共演者に手紙と生きたネズミを送ったり、ブタの死体やアダルトグッズをプレゼントしたりと奇行に走ったこともあったという。共演者たちは、ジャレッド・レトの贈り物にかなり引いてしまったそうだ。
『スーサイド・スクワッド』でのジャレッド・レトのジョーカーを評価するファンは「セクシーでかっこいい」と言っている。本作ではハーレクインとの恋愛も描かれるため、ジャレッド・レトのジョーカーには歴代のジョーカーにはないセクシーさがある。
評価はともかくとして、ジャレッド・レトが真剣にジョーカー役に向き合っていたことは間違いないようだ。
ジャレッド・レトはメソッドアクター
ジャレッド・レトはメソッドアクターといわれている。メソッドアクターとは、役の人格や深層心理までをも掘り下げて考え、役そのものになりきって演技をする俳優のことである。
そのためには、日常生活においても演じる役の環境や状況を疑似体験して役作りをしていく。
前述した通り、ジョーカーの役作りでは常識を逸した行動で周囲を驚かせたが、このようなエピソードは枚挙にいとまがない。
アカデミー賞助演男優賞を受賞した『ダラス・バイヤーズ・クラブ』でHIV患者を演じたときは20kgの減量をし『チャプター27』では2カ月で30kgの増量をするなど、自身の健康さえも省みないほど役に自分を近づけようとしている。
『スーサイド・スクワッド』のジョーカーは賛否両論
2016年に公開されたスーサイド・スクワッドは、ジョーカー役のジャレッド・レトの力み過ぎた演技が映画の世界観と合わなかったこと、ストーリーや設定に違和感を覚えるファンがいたことなどから、評価が分かれてしまった。
しかし不評の理由は、ジャレッド・レトだけの問題ではなく『スーサイド・スクワッド』との相性が良くなかったことも一因と考えられる。
作品によって全く違った顔を見せるジャレッド・レトのこれからの活躍に注目したい。
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