ニューヨーク市が「ネズミの皇帝」を任命 駆除対策に本腰

米ニューヨーク市のネズミ駆除責任者に任命されたコラディ氏|Bobby Caina Calvan / AP Photo

 ニューヨークというと、地下鉄や路上での犯罪の増加が最近問題になっている。ところが市が頭を抱えるナンバー1の問題は、治安ではなかった。はびこるドブネズミの対策に長年悩まされているのだ。都市伝説では、市の人口800万人に対し、ネズミの生息数は約800万匹以上とも。自称「ネズミ嫌い」のアダムズ市長は、ネズミ駆除に本腰を入れると宣言した。その対策とは……。

◆女性のネズミ駆除責任者「ネズミの皇帝」を任命
 ドブネズミとの終わりのない戦いに明け暮れているニューヨーク市に、新たなネズミ駆除の司令官が誕生した。エリック・アダムズ市長は任命から3週間後の今月12日、ついにニューヨーク市初の「ネズミの皇帝」の名前を明らかにした

 市教育局(DOE)に勤務するキャスリン・コラディが、ビッグアップルを悩ませているネズミの駆除を任されたのだ。「ニューヨークはピザ・ラットで有名かもしれませんが、そうしたドブネズミとその繁殖を支える環境を、もう許すわけにいきません。汚れた縁石や管理されていない空き室、大胆に掘った巣穴には、もうおさらばしましょう。この仕事を指揮できることを光栄に思います。機会を与えてくれたアダムズ市長に感謝し、ネズミを追い払うことを楽しみにしています」とコラディは熱く語る。

 新たに創設されたこの仕事で年棒15万5000ドル(約2100万円)の高報酬を得ることになるコラディは、ブルックリン、マンハッタン、ブロンクスの120棟のビルでDOEのネズミ削減活動の先頭に数年間立っていた。そのため、害獣のことは知り尽くしていると言う。

 「この間、私はドブネズミの痕跡を探し、ネズミが繁殖できる環境をなくすために多くの時間を費やしてきました。こうした努力の結果、ドブネズミの問題が絶えなかった公立学校の70%近くがコンプライアンス目標を達成することができたのです」と、元小学校教師のコラディは強調する(ニューヨーク・ポスト、4/11)。

Text by 中沢弘子