宇宙船スターシップ、打ち上げ失敗でもなぜ賞賛されているのか?

打ち上げられたスペースXのスターシップ(4月20日)|Eric Gay / AP Photo

 米宇宙企業スペースXの「スーパーヘビー」ロケットによるスターシップの打ち上げは失敗に終わった。しかし、批判を浴びることなく賞賛されている。その理由は何か。今後は。

◆スターシップの打ち上げ失敗の状況
 スペースXは20日、大型ロケット「スーパーヘビー」によるスターシップの打ち上げを実施。しかし、打ち上げ4分後に空中で爆発する結果に終わっている。

 打ち上げ15秒後の時点で、外周にあるジンバル機構のない2つのラプターエンジンと中央のジンバル可能なラプターエンジンの計3つのラプター エンジンが機能していなかった。そして、さらに外周にあるジンバル機構のないラプターエンジンの一つが打ち上げ40秒後に停止。さらに、もう一つのラプターエンジンも停止してしまった。打ち上げ100秒後までに6機のラプターエンジンが停止してしまう結果となり、その後、制御不能となったため、自律飛行停止システムを起動させて破壊した。(スペース・ニュース

 ちなみに、当初の予定では、打ち上げは17日を計画していたが、イーロン・マスク氏によると、直前に加圧弁の凍結が確認され、延期されていた。

◆スターシップの人類初の目的は
 スターシップは、スペースXが開発した完全再利用可能な輸送機で宇宙船のこと。そのスターシップのブースターとして活躍するのが「スーパーヘビー」ロケットで、推力は以前宇宙飛行士を月に打ち上げた「サターンV」ロケットの2倍ほど。6本の脚が備わっており、垂直着陸帰還機能も持ち合わせている。このスターシップとスーパーヘビーロケットは世界最大のロケットとなる。この宇宙船スターシップの目的は、宇宙空間への衛星の軌道投入、また月や火星への物資・人員輸送だ。そして、このスターシップは、NASAが主導するアルテミス計画で月へ宇宙飛行士を着陸させるための宇宙船としても選定されている。(NASA)

Text by 齊田興哉