「欧州店舗はほぼ破綻」 海外紙が指摘する、ユニクロ世界一への課題とは?

「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが10日、2013年8月期の連結売上高が、前年比23%増の1兆1430億円となり、最終利益が903億円と26%伸びたことを発表した。営業利益も過去最高の132億円であった。最終利益の見通しは920億円だが、これは近年の急成長の中では低い伸び率であることをウォールストリート・ジャーナル紙は伝えている。

 同日の会見で、柳井正会長兼社長(64)は、グローバル展開を加速する中、公言していた「65歳での社長引退」を撤回すると表明した。

【売上高に反して落ち込んだ国内での売上高?】
 ウォールストリート・ジャーナル紙は、急速な海外展開を行っている同社だが、売り上げの大部分は飽和状態かつ高齢化した日本市場におけるものだと報じた。

 さらに、同社は週末限定割引の延長や、広告、店内の在庫の充実化を図っていたものの、利益率の高い商品は顧客に避けられたと指摘した。そのため、下半期の売上・客足ともに2桁の成長率を見せたものの、客単価は5.5%落ち込んだという。記者会見で柳井氏は、顧客により高額な商品を買ってもらえるよう努めている、と述べていた。

【アジア市場拡大による今後の展開は?】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、アメリカの店舗が営業損失から抜け出せず、ヨーロッパ(英、仏、露)の店舗はほぼ破綻していることを指摘。

 一方、102店舗のオープンもあって、中国、香港、台湾では売上・営業利益ともに急増している。売上は1250億円で、ユニクロの海外店舗での約半分近くを占めており、営業利益は135億円で海外事業の74%近くを占めているという。

 また同紙は、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンを含む東南アジアでの事業も好調で、期待できると伝えている。

【株価への影響、今後の展開は?】
 11日の同社の株価は一時、前日比5.4%安の32700円となり、8月7日以降の日中下落率となったことをブルームバーグは伝えている。

 また、日本のファンドマネージャーによる「粗利が下がるトレンドが続いている」との分析を紹介。実際、国内既存店の客単価が減少傾向にあると指摘している。

Text by NewSphere 編集部