トルコ、シリア難民受け入れ限界

シリア シリアでの内戦が激化するにつれ、隣国トルコに避難する難民が増え続けている。トルコはこれを受け入れてきたが、今ではその数は「心理的限界」に迫る10万人近い数に膨れ上っている。トルコは対応処置として、シリア領内での安全地帯の設置を呼び掛けてきたが、世界の主要各国の足並みはそろわず、国際的な支援の見通しは立っていない。3日にはついに、シリアからの被弾によって5人のトルコ人が犠牲になる事態となった。トルコ議会はこれを踏まえ、越境攻撃を承認。実際に報復攻撃が行われた。

Financial Timesの報道姿勢―国境は開いているか。迫る戦火に疲弊する両国民―
 シリア難民の大量流入について、トルコの建前と本音に切り込んだ。トルコ政府は、現時点では難民への継続的な支援を表明している。しかし、支援に陰りが見えてきたと指摘。シリア難民からは、入国を拒絶された、という声も上がっていることを紹介した。トルコ政府はこれを、難民キャンプがいっぱいだと考えた難民自身の判断であるとしたり、受け入れる用意はあるが急増に現実が追いつかないなどと説明している。実際にはパスポート不所持を理由に多くを拒否しつつ、数日おきに非公式の地点で少数の入国を許すという苦しい駆け引きをしている格好だ。順番を待ちきれずに、戦火を恐れる難民が不法に越境することもある。先月のトルコ国民を対象にした調査では、半数を超える回答者が難民の受け入れなどに反対しており、政府にも市民にも限界が垣間見える、と報じた。

International Herald Tribuneの報道姿勢―戦争に翻弄される国民感情。それぞれの場合―
 シリアの内戦がトルコに飛び火し、二国間戦争の危険が現実化しつつあると指摘した。かつてシリアとトルコの国境地域の住民は、土地や苗字すら分け合い、さまざまに交流してきた。2002年以降はトルコのエルドアン首相の友好政策により関係が深まったとした。しかし今、この地域は、シリア難民の流入が続き、反体制派が家族を避難させ作戦を練る拠点ともなっている。アパートも病院も難民であふれ、物価は高騰し、公共のサービスもまともに受けられない状況だとした。多額の投資をしてきた事業を喪失する危険にさらされている人もいる。難民に農作物を荒らされたと語る人もいる。しかも、戦火の気配は刻々と近づいている。人々は心身ともに圧迫されている、と報じた。

Text by NewSphere 編集部