公平性に懸念…トランス女性の女子競技参加をどうするべきか 全米に議論広がる

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 多様性と平等の観点から、トランスジェンダーの人々が生まれ持った性別ではなく、自認する性別を基準にスポーツに参加することが認められつつある。しかし、トランスジェンダー女性が女子スポーツに参加し、ランキング上位に食い込んだり記録を塗り替えたりする事例が問題化。トランス女性の権利を認める一方で、犠牲になるシスジェンダー(生まれ持った性別と自認する性が一致する人)の女性が出てしまうと批判の声が出ている。

◆男性チームから転向のトランス選手 女子競泳で好記録連発
 アメリカでは、トランス女性の女子スポーツ参加が国家的議論となっている。そのなかでも特に注目されてきたのが水泳のリア・トーマス選手だ。トーマス選手は、2020年まで男性としてペンシルベニア大学の水泳部に所属していたが、ホルモン治療などを経て全米大学体育協会(NCAA)の承認を受け、女子競泳に参加することになった。タイムは男子時代に比べずっと遅くなっていたものの、数々の大会を席巻。昨年3月には、NCAAディビジョン1の女子500ヤード自由形で1位となり、トランスジェンダー選手として初の快挙を成し遂げた。

東京五輪メダリストのエマ・ワイアント選手を抑えて優勝したトーマス選手

 もともと男子水泳選手だったこと、また体格や筋肉量が女子を上回ると見られることから、トーマス選手の女子競泳参加と成功には、一部のチームメイト、ライバル、ほかの水泳界のメンバーから数々の批判が出た。議論は全米に広がり、スポーツにおけるトランス選手の参加規程を厳格化する動きも各州で起きている。

Text by 山川 真智子