気球撃墜、「新冷戦」を決定づけたのか 強硬論に傾く米中 「意図しないエスカレート」懸念も
中国の気球がアメリカ領空に侵入した問題で、米中それぞれの国内でタカ派の主張が高まっている。一部では、新たな冷戦への突入さえやむを得ないという声すら聞かれるようになった。
◆ナショナリズムに訴える中国
中国はアメリカへの謝罪から批判に転じた。中国は当初、気球は気象調査のために民間が飛ばしたものだったと説明し、「予定したコースから大きく外れた」ことについて遺憾の意を表明していた。
だが、アメリカが気球を撃墜すると、これを口実として一転批判に回った。フリージャーナリストのヴァーナ・ユ氏は英ガーディアン紙(2月9日)に寄稿し、気球問題が中国国民の愛国心を鼓舞する目的で利用されていると指摘している。中国共産党傘下のグローバル・タイムズ紙は、アメリカの「ヒステリックな過剰反応」により米中関係が緊迫したと主張している。
ユ氏は「3年に及んだコロナのロックダウン(都市封鎖)および経済危機による不満が充満するなか、中国はナショナリズムに訴え、政敵に対する国民の敵意を煽っている」と指摘する。習近平政権への不満をかわす目的で利用されているとの見方だ。
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