イラン革命防衛隊司令官、フランスに襲撃警告「ラシュディに起きたことを…」

テヘランの仏大使館前でシャルリー・エブドの風刺画に抗議する人々(1月8日)|Vahid Salemi / AP Photo

 フランスの週刊紙シャルリー・エブドが発表した風刺画が、フランスとイランの外交問題へと発展する様相を見せている。

◆風刺画コンテスト
 シャルリー・エブド紙は昨年12月8日、イランの最高指導者の風刺画コンテストを呼びかけた。同紙は辛辣な風刺画で有名な週刊新聞で、イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を掲載して過激イスラム派の怒りを買い、2015年にテロ攻撃を受けてイラストレーター5人を含む複数の死者を出した。

 だが、このテロの打撃もシャルリー・エブド紙の姿勢を変えることはなかった。今回の国際風刺画コンテスト「#MullahsGetOut」についても「時代遅れの宗教指導者を嘲笑し歴史のなかに捨て去ることで、自由のために戦うイラン人を支持するために」立ち上げた企画だと明言している。この挑発的な企画は発表の段階からイラン人を刺激し、同社は1ヶ月足らずの募集期間中に300点以上の応募作とともに数千件の脅迫を受けとったと明らかにしている。

◆9月以来激化するイランの弾圧
 イランでは昨年9月に道徳警察の暴力を受けた22歳のマーサ・アミニが亡くなって以来、抗議運動をする民衆とそれを弾圧する当局の間で衝突が続いている。シャルリー・エブド紙が支持する「自由のために戦うイラン人」は、この抗議運動参加者らのことだ。実際、当局の弾圧は凄まじく、デモ参加者らへの国際的支援を呼びかける声も多い。

 イランの人権活動家通信(HRANA)によると、治安部隊との衝突ですでに少なくとも520人が死亡し、1万9396人が逮捕された。逮捕された者のなかには、拷問による自白や弁護士もつけられない一方的な裁判で死刑を宣告される者もいる。これまで少なくとも17名に死刑判決が出ているとされ、すでに執行されたケースもある。

Text by 冠ゆき