影響力増すZ世代、企業が知るべき彼らのサステナビリティへの考え方
毎年10月11日の「カミングアウトデー」は、LGBTQ+コミュニティをサポートするため、さまざまな性的マイノリティを祝うという目的のために制定されている。しかし、その本来の目的を理解せず国内の企業が次々と「宣伝」として利用したため、非難と炎上が続き、謝罪するまでに追いやられた。故意ではなくとも、本来の意味や目的を正しく理解せずに利用する代償は大きい。それほど消費者の意識は高く、敏感になってきている。サステナビリティや持続可能な開発目標(SDGs)においても同様のことが言える。響きが良いトレンドワードだからといって正しく理解せずに利用してしまうと、言葉だけが一人歩きしてしまい、逆にネガティブなイメージを持たれる可能性もある。そのためにも、Z世代がサステナビリティについてどう考えているかを理解することは重要である。
調査会社ファースト・インサイトとペンシルバニア大学ウォートン校のベイカー・リテイリング・センターは、米国の消費者を対象に、サステナブルな慣行が商品購入の決定にどのような影響を与えるかを調査した。結果は、Z世代がほかの世代へ影響を与えていること、サステナブルな買い物意識が高まっていることなどを明らかにした。
◆Z世代が与える影響
Z世代の人々が持つ大きな特徴の一つに、自身の価値観に合った選択を重視していることが挙げられる。それらの選択には、地球環境や健康へのコミット、消費と二酸化炭素排出量の削減、スモールビジネスと地元企業の支援、循環型経済への参加、新品ではない品物の購入やリサイクルなどが含まれる。これほどに社会問題に関心を寄せるのは、Z世代以前には見られなかった。米銀行大手バンク・オブ・アメリカは、2031年までにZ世代の収入がミレニアル世代の収入を上回り、「最もディスラプティブな(それまでの常識を破る)世代」になると予測しており、ブランドや企業はそれを考慮しないわけにはいかない(CNBC)。
ファースト・インサイトらの調査によると、Z世代の消費者の4分の3が、何かを購入する際にブランド名よりも持続可能性の方が重要であると述べた。これらの問題について、Z世代の親にあたるX世代に影響を与えた結果、2019年以来、X世代の消費者はサステナブルなブランドを購入する傾向が24%増加し、サステナブル製品にお金を使う意欲が42%増加した。
また、Z世代の消費者は持続可能な小売を求めている。持続可能なブランドを購入することを好み、持続可能な製品に2年前と比べ10%多く支出する。Z世代とミレニアル世代が、価値観と信念 (個人的、社会的、環境的) に基づいて購入を決定する可能性が最も高いこともわかった。パンデミックの発生によって、私たちが消費と地球環境への影響を考え直すようになったのは明らかだが、Z世代は一貫して持続可能性の価値観に忠実であり続けると同時に、前の世代を教育し、影響を与え続けている。
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