「暗くなる」欧州の街、厚着の推奨も…エネルギー危機で進む節電施策

節電のため照明を消したカイザー・ヴィルヘルム記念教会(10月11日)|Michael Sohn / AP Photo

 ロシアはウクライナ・ロシアの戦争をめぐって経済制裁を科している欧州各国へのガス供給を制限しており、欧州ではエネルギー危機を見据えた節電施策が進んでいる。その詳細とは。

◆欧州のエネルギー不足
 冬を目前にして欧州ではエネルギー危機に対する懸念がさらに強まっている。欧州連合(EU)のガス消費の4割がロシアからのパイプライン供給を通じてまかなわれているが、ロシアはEUの制裁に対して、ガス供給を75%カットした。ロシアは現在ウクライナとトルコを通じてのみ、ガス供給を行っている状況だ。

 専門家によると、欧州各国は再生エネルギーへの移行を進めるために、資源の採掘を停止するという政策をとってきており、欧州でも天然ガスは保有しているもののロシアからの輸入に頼ってきた。今回のガス供給ストップは、その政策が裏目に出た形になった。アルジャジーラによると、欧州は天然ガスの世界一の輸入地域で、2021年時点、ロシア、ドイツ、英国、イタリア、フランスが、欧州大陸全体の4分の3に相当するガスエネルギーを消費した。

 エネルギーは交通や家庭などで消費されるだけでなく、農業・食糧生産にも使われる。欧州では、エネルギー不足を受けて、乳製品や肉などの価格が上昇している。

Text by MAKI NAKATA