500年で最悪の干ばつ、欧州に何をもたらしているのか

フランス・サンマーニュ近郊で発生した山火事(8月12日)|SDIS 33 via AP

 欧州はこの夏、一説には過去500年で最悪の干ばつを迎えている。この記録的な水不足は、6月から何度も欧州を襲っている熱波と相まって、各方面に多大な影響を及ぼしている。そのなかには想像の外をいくものもある。

◆欧州の64%で干ばつ
 欧州委員会の欧州干ばつ観測所(EDO)の8月の報告によれば、ヨーロッパの47%が土壌の水分が明らかに不足する「警告段階」にあり、17%が「要警戒段階」にある(ロイター、8/23)。フランスの場合、100以上の自治体で、水道から飲み水を供給できなくなった(フランス・アンフォ、8/6)。

 そのため多くの国・地域が取水制限を出している。オランダでは、いくつかの水門を閉じたり、畑の水やりを制限したりするとともに、政府は国民に洗車や庭の水やりを控え、シャワー時間を短くするようにと呼びかけている(ユーロニュース、8/6)。同じく、イギリスでも地方によっては、庭の水やりや洗車、個人のプール使用などが禁止された(rfi、8/13)。

 農作物への影響はとくに大きく、イタリアのトスカーナ地方では、水不足の影響でオリーブの実が育たず、今年のオリーブオイルの生産量は50~60%も減少すると見られている。また6月に政府が課した灌漑(かんがい)制限のせいで、スイカなど農作物の品質も著しく落ちている。(フランス・アンフォ、8/17)

Text by 冠ゆき