NATOに接近する北欧、ロシアの対抗手段は? 日本もNATO接近

フィンランドのマリン首相(左)とニーニスト大統領(ヘルシンキ、5月十五日)|Heikki Saukkomaa / Lehtiuva via AP

 フィンランドのマリン首相とニーニスト大統領が15日、首都ヘルシンキで記者会見を開き、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を正式に申請することを明らかにした。また、フィンランドの隣国でこれまで軍事的非同盟を200年にわたって貫いてきたスウェーデンもNATO加盟に向けプロセスを進めている状況だ。こういった北欧諸国のNATOへの接近の背景には何があるのだろうか。

◆ロシアによるウクライナ侵攻で警戒を強めた北欧
 2月下旬にロシアがウクライナに侵攻してから、ロシアと1300キロにわたって国境を接するフィンランドは自国安全保障に対する認識を大きく変えている。フィンランドは、NATOの東方拡大を強く警戒するロシアの立場に配慮し、これまでNATOには加盟せず、軍事的中立を貫いてきた。

 しかし、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、フィンランド市民の間でロシア脅威論が一気に高まり、同国政府はついにNATO加盟に向けて動き出す結論を下した。スウェーデンも同じような懸念を強め、NATO加盟に向けて走り出したわけだが、北欧諸国が国家安全保障の分野で懸念を強めるという姿はこれまでの世界情勢だと想像しづらかったと言えるだろう。

Text by 和田大樹