強硬な対ロ姿勢が招く、もう一つのエネルギー安全保障リスク

David Mareuil / Pool Photo via AP

 2月24日の衝撃からすでに2ヶ月以上となるが、安全保障と経済の両面から世界的な危機が続いている。西側主導の対ロ経済制裁が強化されるなか、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は4日、第6弾となる追加制裁の原案を公表し、ロシアからの石油輸入を6ヶ月以内、石油精製品を年末までに段階的に廃止する計画を明らかにした。西側とすれば、経済制裁を強化することでロシアを経済的に締めつけ、それによって軍事的行動、侵攻を食い止める狙いがあるが、とくに欧州はロシア産石油や天然ガスに依存していることから、今後も両者の間で我慢比べが長期化することが予想される。そのようななか、筆者には一つ気がかりなことがある。

◆悪化する日ロ関係
萩生田経産相は4日、フォンデアライエン欧州委員長がロシア産石油の禁輸を提案したことについて、「日本は資源に限界があり、ただちに足並みをそろえてというのは難しい」という意見を示した。

 日本はエネルギー資源に乏しく、石油はほぼすべてを諸外国に依存している。日本の輸入先シェアでロシアは中東ほど高くないが、日本はロシア政府高官の資産凍結や高級品目の輸出規制、ロシア外交官の国外追放など厳しい対応を貫いており、ロシア側からの対抗手段に直面することは避けられそうにない。すでに、日本人外交官たちが国外追放されているが、今後は石油の対日輸出規制など、ロシアから日本のエネルギー安全保障上に影響を与える対抗手段が実施される可能性がある。

Text by 和田大樹