エルメス路線へ、シャネルが強気の高価格化 22年ラグジュアリー業界トレンド

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 ラグジュアリーブランドのシャネルは昨年末、一部定番商品のバッグの価格を大幅に引き上げた。2019年以降、値上げを繰り返している同ブランドのある商品は、米国で60%の値上げを記録した。その戦略とは。

◆値上げを続けるシャネル
 シャネルは2019年末以降、一部ハンドバッグの価格を引き上げている。昨年末に発表された値上げは、過去2年間で4度目だ。同ブランドの広報担当は値上げの背景として為替、生産コストの変化、グローバルの各市場における統一価格の実現などといった要因をあげている。一方、業界関係者などは、値上げの背景にはブランドの攻めの戦略があると推測。シャネルは商品の高価格化によって、ルイヴィトンなどの大衆化されつつあるブランドからの差別化を図り、エルメスに代表されるような、よりエクスクルーシブな超高級ブランドを目指しているようだ。2019年の11月時点と比較して、シャネルのスモール・フラップ・バッグの価格は60%値上げされ、8200ドルになった。大きいサイズの2.55と呼ばれるバッグは、9500ドルに値上げされた。(ブルームバーグ

 シャネルは、ブランドのさらなる高級化を図るために、価格戦略だけではなく、一部の商品に対する購入制限も導入しているようだ。人気のフラップバッグに関しては、高価格だけでなく、その希少性で知られているエルメスのハンドバッグ、バーキンのような存在への転換を目指しているようだ。その希少価値を判断する一つの材料となる中古市場においては、シャネルのバッグの価格は、エルメスのバーキンの価格帯には及ばない。シャネルの希少化戦略は、まだ中古市場への影響が及んでいないようだが、今後、状況が変化するのではないだろうか。

Text by MAKI NAKATA