北朝鮮、なぜいまミサイル発射を繰り返すのか コロナで厳しい国内情勢のなか
1月に入り、北朝鮮のミサイル発射実験が頻発している。通常は他国の軍事演習に不快感を示すなどの目的で打ち上げられることが多いが、今回は狙いが異なるようだ。国内経済の下振れを受け、日本など近隣諸国を脅威にさらすことで、同盟国であるアメリカの注意を引こうとしている可能性がある。
◆今年に入り立て続けにミサイル実験
韓国軍の関係者は25日、北朝鮮が同日午前に巡航ミサイル2発を発射したと明らかにした。北朝鮮は2022年に入り、弾道ミサイルを4回、計6発発射している。わずか1ヶ月足らずでの発射数が、昨年1年間の総数にほぼ匹敵する計算となる。北朝鮮情勢に詳しい米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院のイ・サンユン教授は、米ニューヨーク・タイムズ紙(1月25日、以下NYT)に対し、「2022年は大きなミサイルテストを挟みつつ、武器による威嚇が続くことでしょう」と述べている。ただし同紙は、いずれもすでに開発済みのミサイルを使用したものであり、新たな脅威ではないとの見方を示している。
一方でロイター(1月24日)は「北朝鮮が『超音速』兵器と呼ぶものを含む一連の新たなミサイルテスト」が行われていると報じ、比較的新しいタイプの飛翔兵器である点に着目している。1回目と2回目の発射実験は、核弾頭を搭載可能な極超音速滑空体のテストであった。アメリカの分析によると北朝鮮は、少なくともロシアの通信会社1社から技術提供を受けている。とくに極超音速滑空体に用いられるブースターはこの色が濃く、海外の技術支援を得てミサイル開発を進めている状況が垣間見える。
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