米中のはざまで難局を迎える東南アジア
米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は16日、オンラインで3時間半にわたる首脳会談を実施し、米中関係や台湾問題、新疆ウイグル自治区の人権問題、気候変動など多くの問題で意見を交わした。両者は競争が衝突に発展しないよう歯止めをかけ、世界の2大経済大国である両国が協力関係を強化する必要性に言及したが、台湾やウイグルなどをめぐる問題では改めて考えの違いが浮き彫りとなった。両国が協力できそうな分野は地球温暖化など一部に留まり、安全保障や人権、経済などでは今後も競争や対立が続くとみるべきだ。
◆日本と同じく難しい舵取りを迫られる東南アジア
米中をめぐる対立が欧州やオーストラリアなどを巻き込む形で拡大するなか、東南アジアは難しい舵取りを余儀なくされている。バイデン政権は日米豪印によるクアッドを強化し、米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設するなど対中国で多国間包囲網を作りつつあるが、東南アジア諸国のなかには必要以上の緊張激化を避けたいという国が少なくない。ベトナムやフィリピンは南シナ海の領有権問題で中国と長く対立しているが、インドネシアは中国の海洋覇権に強い懸念を示しつつも、経済関係から中国との関係悪化をできるだけ避けたいというスタンスを維持している。この考えは、マレーシアやシンガポール、タイなども同様であろう。
一方、東南アジアでもカンボジアやラオス、今年クーデターがあったミャンマーは中国との関係が深く、仮に欧米と中国との対立が激しくなったとしても、欧米より中国との関係を重視する可能性がある。米中対立のなか、東南アジア諸国の姿勢は実際に分かれており、その激化によってインドネシアなどの対応は今後さらに難しくなる可能性がある。これについては日本も同じ課題を抱えている。
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