中国の電力危機、なぜ起きているのか? 世界に影響 来春まで続く可能性

停電中にスマートフォンの明かりで朝食をとる男性(遼寧省瀋陽市、9月29日)|Olivia Zhang / AP Photo

 中国の東北地域を中心として深刻な電力不足が発生し、多くの家庭や工場などが停電に見舞われている。暖房の使用など国民生活を直撃しているだけでなく、工場の操業制限によって日本を含む世界のサプライチェーンにも波紋が広がる。

◆青天井の石炭価格 発電所は収益性確保できず
 これまでにも中国は、電力不足を幾度となく経験してきた。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(以下「SCMP」)はその多くが、石炭価格と電気料金のミスマッチに起因すると指摘している。市場原理で変動する石炭価格に対し、電気料金は政府が決定権を握る。経済政策を担う国家発展改革委員会は昨年1月、電力価格の急激な変動を防ぐことを目的として、価格幅に制限を設けた。電気料金は各州が見直しを行うが、制度開始時の価格比で15%安〜10%高の範囲内に収めることが求められる。これに対し石炭価格に対する規制はなく、供給のひっ迫に伴い現在青天井となっている。電力各社としては到底採算が取れる状況になく、必要とされる電力量を発電していない状況だ。

 そもそも石炭の需給バランスが崩れた背景としては、複数の要因が関係している。英BBCは、パンデミックの影響を挙げる。収束の兆しが見えたことにより中国製品の需要は世界的に拡大しており、製造各社は工場の稼働率を上げるようになった。一方で中国政府としては2060年までにカーボンニュートラルを達成したい考えであり、石炭の採掘量を抑える方向でこれまで調整を進めてきた。中国は発電量の過半数を石炭に依存しているため、急伸した工業分野での需要を満たせなくなっている。

 米CNNはこのほか、豪雨によって中部・山西省の炭鉱60ヶ所で一時操業を停止していた影響が大きいと指摘する。また、中国は昨年、主な石炭の輸入先であったオーストラリアに対する禁輸措置を導入している。国内の需給バランスが厳しくなった現在、この措置が裏目に出る形となった。

Text by 青葉やまと