アフリカ都市化の新モデルとなるか ルワンダ・キガリの「スマートシティ」プロジェクト
ルワンダの首都キガリは今年、「スマートシティ」の課題解決に挑むスタートアップのためのアクセレレータープログラムを開始。同市は2018年より、よりアクセシブルでサステナブルな都市化を目指すグリーン・シティ・キガリのパイロットプロジェクトも進めている。ルワンダ政府のビジョンと、スマートシティ化のプロジェクトとは。
◆ルワンダの野心的なビジョン
ポール・カガメ(Paul Kagame)大統領が率いるルワンダ政府は、1998〜1999年に行われたルワンダ国民との意見交換を踏まえ、2000年に20年後の国の成長目標を掲げたビジョン2020を策定した(2012年に改訂版発表)。ビジョン2020の中核は、2020年までに中所得国になることで、改訂版では、国民一人当たりの所得を2011年の595ドルから1240ドルまでに引き上げること、貧困率を2011年の44.9%から20%にまで改善すること、平均寿命を2000年の49歳から66歳にまで引き上げることなどといった数値目標が明言された。世界銀行のデータによると、国民一人当たりの所得は2002〜2019年のまでの間、継続的に成長し、2019年の数値は820ドルとなった。その後の2020年は798ドルに減少した。この減少はパンデミックが影響していると考えられるが、その数値は一昨年の2018年のものよりは上回っているため、今後の成長回復が見込まれる。
2015年には、ビジョン2020を引き継いだ新たな国家戦略指針としてのビジョン2050が発表された。ビジョン2050は、国連が採択した持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)、アフリカ連合のアジェンダ2063、東アフリカ共同体(East African Community:EAC)のビジョン2050などといったグローバル・地域ビジョンと連携したものだ。ビジョン2050の55ページの文書内には、近代的な/近代化(modern/modernize)という単語が30回登場するほか、テクノロジー・ICTという単語が合わせて29回登場。イノベーションという単語は38回使われている。日本でも知られている「ICT立国」としてのイメージをさらに強化するような、テクノロジーやイノベーションを活用した近代化のビジョンが描かれているといえる。
具体的には、2035年までに国民一人当たりの所得を4036ドル、2050年には1万2476ドル(日本の1980年代半ばレベル、シンガポールの1990年代初頭レベル)にまで引き上げることが目標として掲げられている。ビジョン2050では、ほかに45のさまざまな数値目標が設定されているが、特筆すべきは、国家成長のドライバーとしての都市化戦略だ。都市に住む人口の比率を、2016/17年の18.4%から2050年には70%にまで引き上げるとともに、都市のスラムに住む人口の比率を2016/17年の62.6%から2050年には20%にまで引き下げるという目標が明記されている。
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