中身は別物? スロバキアに届いたロシア製ワクチン「スプートニクV」

Zoltan Balogh / MTI via AP

 ロシアがその威信にかけて開発した抗Covid-19ワクチン「スプートニクV」は現在、約60ヶ国で承認された。ヨーロッパでは、欧州医薬品庁(EMA)が3月4日に審査を開始したが、その結果が出るのは6月末の見込みだ。だがすでに、同ワクチンの存在はEUを少なからず揺さぶっている。

◆スプートニクVの特徴
 スプートニクVは、ロシアのガマレア研究所の専門家約70人によって生み出された。ロシアでは2020年8月11日に承認を受け、世界初の抗新型コロナワクチンとして世に出た。このずば抜けたスピードを可能にした大きな理由のひとつは、既存の抗エボラウイルス・ワクチンをベースにしたことだ(LCI、3/24)。ランセット誌(2/2)の報告によれば、同ワクチンの効果は91.6%以上と高く、変異株にも効果があるとされる。加えて副反応も多くない。一回分が約10ユーロと安価であること、保存や輸送が比較的容易であることも長所に数えられる(LCI)。

 同ワクチンは、アルゼンチンやベネズエラなどラテンアメリカの多くの国と、中央アジアのカザフスタンやキルギスタン、アフリカ大陸ではリビア、ケニア、モロッコなどで接種されている。またアルジェリアは4月7日、9月から国内で同ワクチンの生産を開始すると発表した(フランス・アンテール)。

◆疑いと期待の入り混じるヨーロッパ諸国
 ヨーロッパではまだ承認が下りていないが、旧ソ連とかかわりが深かったハンガリー、チェコ、スロバキアなどは、早くから個別の契約に積極的だった。そのうちハンガリーではすでに同ワクチンの接種を始めている。この足並みの乱れに、フランスでは、ロシアはワクチンを口実に政治的圧力をEUに及ぼそうとしているという批判の声も出た(20 minutes、4/1)。

Text by 冠ゆき