「中国が6年以内に侵攻」台湾有事と日本の安全保障

071型揚陸艦「長白山」|VanderWolf Images / Shutterstock.com

 バイデン政権になり3ヶ月となるが、米中対立は新たな局面に突入している。トランプ時代の米中対立は個対個の争いだったが、バイデン時代の対立は、集団対個の様相を呈している。バイデン政権は同盟国との協力のもと多国間主義で中国に対抗し、トランプ政権にはなかった人権で圧力をかけ続けている。習政権からすると、バイデン政権のほうが嫌な存在とも言えるだろう。そのようななか、最近台湾をめぐる問題で緊張が高まっている。中国は台湾を不可分な核心的利益と位置づけており、今後の情勢が懸念されている。

◆中国は台湾に6年以内に侵攻か
 米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は先月、上院軍事委員会の公聴会において、中国が今後6年以内に台湾に侵攻する可能性があり、また、軍事力で米国を追い抜き、武力で地域秩序の現状を変更しようとする時期が早まりつつあると言及し、2026年までに西太平洋における米軍優位の状況が変わる可能性があると警告した。

 米軍幹部がこのように具体的に踏み込んだ発言をすることは稀だが、どのような意図があったのかははっきりしない。だが、経済的にも米中の力関係は接近し、アジア地域の海洋覇権は徐々に中国のパワーが相対的に大きくなってきていることは間違いない。

 バイデン政権は同盟国の役割分担を強く求めているが、同司令官は今回、中国をけん制するにあたり、日本やオーストラリアなど同盟国の協力の必要性にも言及している。

Text by 和田大樹