世界的人気の「ジャパニーズウイスキー」、定義を明確化 海外ファンも歓迎

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 海外での評価が高まり、原酒不足と高値が続く日本のウイスキーだが、実はこれまで「ジャパニーズウイスキー」と呼ぶための明確な基準がなかった。国産と名乗りながらも輸入した原酒を使用する商品も多く流通しており、ブランド価値を守ろうと、業界団体が「ジャパニーズウイスキー」の定義を決定した。本物、高品質というイメージを訴求する方針で、海外からも支持する声が出ている。

◆人気便乗? 国産と言えない商品も
 ジャパニーズウイスキーの台頭は、蒸留酒の歴史における最も興味をそそる出来事の一つだと香港のライフスタイル・サイト『Tatler Hong Kong』は述べる。日本のウイスキーの歴史は100年ほどと新しいが、その評判と品質を守ってきたのは、細部へのこだわりと長年にわたる職人気質だとしている。

 世界を魅了するジャパニーズウイスキーだが、多くの場合、需要が供給を上回り、人気のボトルの価格は高騰している。2020年8月には、香港のオークションでサントリー「山崎55年」1本が予想の10倍以上となる620万香港ドル(約8700万円)で落札された。日本のウイスキーとしては世界最高値だ。その後11月には、54本のイチローズモルト「フルカードシリーズ」が、予想の2倍の1189万360香港ドル(約1億6700万円)という新記録で落札されている。

 しかし人気が高まるにつれ、輸入ウイスキーをジャパニーズウイスキーとして売る、または外国産を日本で熟成して日本産として売り出す生産者も出てきたとTatler Hong Kongは指摘。ジャパニーズウイスキーの統制の欠如が利用されているとしている。

Text by 山川 真智子