エアビーアンドビー、上場後初の四半期決算は大幅赤字

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 民泊大手のエアビーアンドビーが発表した2020年第4四半期(10-12月期)決算は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響による旅行需要の落ち込みや、新規株式公開(IPO)にともなう一時的な要因により純損失が39億ドルとなった。
 
 2月25日に発表された上場後初の決算発表によると、同社はIPOに関連する28億ドルの株式報酬費用を計上した。前年同期の損失は3億5200万ドルだった。
 
 売上高は22%減の8億5900万ドルとなった。ファクトセット社の調査によると、アナリストの売上高予想を大幅に上回ったほか、減収幅も競合のエクスペディア、トリップアドバイザー、ブッキングス・ホールディングスと比較して軽微な水準にとどまった。
 
 同社は2021年通期の業績予想を公表していない。同社経営陣は旅行需要の回復については楽観的だとしつつも、「ワクチン接種のペースが不透明なため、見通しを立てるのが困難である」と述べている。2021年第1四半期(1-3月期)の減収は、昨年第4四半期より改善するとしている。
 
 エアビーアンドビーは1月下旬、同社が委託した調査において、過半数のアメリカ人が今年の旅行をすでに予約したか、もしくは計画していることを明らかにした。
 
 パンデミックの発生以来、同社は湾岸の市街地や山岳地帯などウイルス感染のリスクが低いとされるアウトドアエリアに戦略の重点を移してきた。最終的には、大都市でのバケーションレンタル需要の回復を期待している。
 
 また、航空会社や旅行業界に属するほかの企業と同様に、パンデミックを乗り切るために費用と雇用を切り詰めてきた。
 
 同社CEOのブライアン・チェスキー氏によると、多くの人がオフィス以外の場所で仕事をするようになり、自宅から遠く離れたところでレンタルが利用されている。その結果、旅行や働き方の変化による恩恵を同社が受けるようになるという。
 
 同氏はアナリスト向け決算説明会のなかで、「旅行需要が戻ってきたとき、以前とは異なる状況になっているだろう。多くの人がノマド生活を送るようになる。エアビーアンドビーで長期間、一度に1~2ヶ月も滞在する人も出てくる」と述べている。
 
 同社はホストの増加に期待している。長期でレンタルを予約する人は、不在となる自宅物件を貸すためにエアビーアンドビーにアクセスすると考えているのだ。
 
 2020年通期でみると、株式報酬のほか貸付に関係する新株引受権のために別途費用計上した8億2700万ドルを含め、純損失は約46億ドルとなった。2019年の純損失は6億7400万ドルだった。2017年と2018年は増収となったものの、マーケティングやテクノロジーに多額の投資をしたほか、新規事業の開拓もあり損失を計上していた。
 
 サンフランシスコを本拠とする同社は数年にわたり損失を出しているにもかかわらず、投資家は高い期待を寄せており、昨年12月には株式上場を果たした。当時の株価は目標価格の倍以上の水準に高騰し、時価総額も1000億ドルを超えた。エアビーアンドビーのIPOによる調達金額は37億ドルで、ルネッサンス・キャピタルによると2020年で最大規模だった。
 
 ホテル業界からの反発など、同社はさまざまな課題に直面している。一部の都市では、短期レンタルに対する規制が強化された。同社のサービスが家賃や住宅価格の高騰をもたらしている市場もあると批判する人もいる。ある研究によれば、自宅のシェアリングに加えて、観光客に居住スペースを提供するビジネスに転用するホストもいるため、地元住民からみて住宅の供給が減少しているという。

By DAVID KOENIG AP Business Writer
Translated by Conyac

Text by AP