進む世界的な女性の貧困 コロナで失業、家事労働の負担も原因に
世界各国が新型コロナウイルス感染症対策に追われていた昨年9月、国連女性機関(UN Women)と国連開発計画は、コロナウイルス感染症の拡大によって、新たに4700万人以上の女性と少女が貧困ライン以下に追いやられようとしていると発表した。男女間の貧困率の差も広がることが想定されるとしており、男女平等を目指し取り組んできたここ数年間の成果が後退する可能性があることを示した。
◆4700万人の女性が極度の貧困状態に
国連女性機関がまとめた報告書『洞察から行動へ:COVID-19のジェンダー平等への影響』によると、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって2021年までに極度の貧困状態に陥るのは9600万人であり、そのうちの4700万人が女性と少女である。これにより極度の貧困状態で生活する女性と少女の総数は4億3500万人に増加し、2030年まではパンデミック以前のレベルに戻ることはないとしている。
これに加え、近年の取り組みによって改善されつつあった女性の貧困率にも影響がでると予測する。2019年から2021年までの2年間で女性の貧困率は2.7%低下すると見込まれていたが、新型コロナウイルス感染症拡大とその影響により9.1%増加するという。ここ数年で貧困の削減に大きな成果を上げてきた南アジアでは、再び極度の貧困状態にある人々が増えることになる。南アジアで極度の貧困状態にある25~34歳までの男性100人に対し同様の状態にある女性の数は、2021年の118人から2030年には129人に増加すると予測されている。
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