コロナ回復後も倦怠感、関節痛……「ロングCOVID」研究が必要とされる理由

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 世界の新型コロナウイルスの感染状況は、通常、感染者数、入院者数、集中治療室の使用率、死者数で報告されている。新型コロナ感染者のなかには、軽症であっても慢性的な症状が持続するケースがある。これは「ロングCOVID」と呼ばれ、このところ早急な調査と研究が必要だとする見方が世界的に高まっている。しかし、これはなかなか容易なことではない。それはなぜか?

◆軽症者でも3ヶ月以上悩まされるロングCOVID
 サイエンス・フォーカス誌(11/15)は、3ヶ月以上症状の続くCovid-19患者を「ロングCOVID」と呼ぶと定義し、Covid-19患者の10人に1人がロングCOVIDに悩まされうるとしている。その症状は多様で、ネイチャー・メディシン誌(12/7)は、「極度の倦怠感、筋肉や関節の痛み、息切れ、動悸、味覚や嗅覚の喪失または変化、胃腸障害、注意力、記憶力、 認知」に関わるものを挙げる。

 だが、ロングCOVIDについてはまだわからないことの方が多い。第一に、「年齢や病歴に関係なく起こりえる」(サイエンス・フォーカス)ため、どういう人が悩まされるのか予測がつかない。

 第二に、ロングCOVIDに悩まされる人の割合も、実のところはっきりしていない。というのも、軽症者を対象とする長期調査が少ないせいもあるが、これまでの報告の数値にも幅があるせいだ。たとえば「ローマの病院を退院した患者の87%は、60日後も少なくとも1つの症状、55%は3つ以上の症状が持続している」という英国立衛生研究所(NIHR)の報告(10/15)がある一方、陽性患者「357人のうち、36.1%が30日以上、14.8%が90日後も少なくとも1つの症状を示していた」というプレプリント研究(medRxiv、12/1)もある。

 また、イギリスの呼吸器内科専門のナイト医師は、Covid-19の症状トラッカーアプリを参照し「1~10%の患者が10-12週目にまだ症状がある」(サイエンス・フォーカス)と述べているが、米医学誌「臨床感染症学(Clinical Infectious Diseases)」(11/30)に発表された調査では、入院を必要としなかったデンマークの新型コロナ陽性患者「180人のうち53.1%が症状が出始めてから125日後に依然として少なくとも1つの症状」に悩まされていたことを明らかにしている。

Text by 冠ゆき