不正の証拠なく次々却下 トランプ大統領の選挙訴訟の行方

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 アメリカの大統領選は今月3日に行われ、その後7日には勝利に必要な選挙人団270票以上がほぼ確定となった民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が勝利を宣言した。ところが、トランプ大統領は自分の敗北を認めず、「選挙に大規模な不正があった」として、いったんリードした後にバイデン氏に逆転されたウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア、ジョージア、ネバダ各州などで開票集計作業を阻止するなどのために訴訟を起こした。しかし、肝心な不正の証拠がなく、各州の裁判所に次々と訴訟を却下されている。

 民主党の投票権保護活動を行い、大統領選後の訴訟の行方を追っている弁護士のマーク・エリアス氏は11日、「トランプ陣営は現在までに12対0で訴訟に負けている」とツイッターで述べた。ちなみに同氏のツイッターによると、トランプ陣営は毎日のようにバイデン氏が勝利を収めた激戦州でさまざまな訴訟を起こしており、12日時点でまだ12件の訴訟が残っているが、今後も増加するのは確実である。

◆争点のペンシルベニア州、トランプ派の不正1件 
 そのうち1州で、バイデン氏勝利の決め手となったペンシルベニア州のジョン・フェターマン副知事はツイッターで、同州で発見された選挙不正で明確になっているのは、いまのところ、同州在住の男性が亡くなった母親の投票用紙を使ってトランプ氏に投票しようとした1件のみであると述べた。

 また同州エリー郡では「上司が郵便投票の日付を改ざんしようと話したのを聞いた」と不正疑惑を報告した郵便局員がいたものの、同州ピッツバーグのCBS系テレビ局『KDKA2』(電子版)によると、この男性は郵便公社監察官に事情聴取された際に証言が虚偽であると認め撤回したという。しかし同記事によると、この局員はその後ユーチューブに動画を投稿して「(不正疑惑の報告を)撤回していない」と証言。ちなみに、トランプ大統領はこの局員をツイッターで「勇気のある愛国者」と称賛しているが、自分への不正投票についてはもちろん触れていない。エリー郡の地元ウェブサイト『GO ERIE』によると、同郡郵便局長ではこの不正疑惑について「最近何度か懲罰処分を受けた局員が報告したもので、100%虚偽」と述べている。

Text by 川島 実佳