“債務の罠”ではない?「中国の途上国融資=悪」に異論
中国はアフリカなどの途上国に多くの融資を行っているが、借り入れ国に「債務の罠」を仕掛けているという疑惑がしばしば報じられてきた。しかし、このような疑惑や批判は一方的だとし、中国の融資が悪という見方にも問題があるという意見も出ている。
◆債務の罠は杞憂? 実例は少ない
フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によると、中国はこの20年でアフリカに対する二国間融資で最大の貸し手となり、すでに政府や国有企業への中国からの融資はほぼ1500億ドル(約15兆5000億円)となった。資源など物資の供給確保、一帯一路のグローバルネットワーク開発のためとされている。しかし返済に苦慮する国も出ており、中国のアフリカへの融資は、支払い不能となった場合に資源や施設を借金のカタに奪う「債務の罠」外交としばしば呼ばれてきた。
一方、中国への批判に対し、アフリカの中国への借金問題は言われるほど大きくないという意見もある。独立系マルチメディア組織、チャイナ・アフリカ・プロジェクトのエリック・オランダー氏は、中国との借金問題を抱える国は10ヶ国程度で、ほかの大多数の国は問題ないとする(ウェブ誌『クオーツ』)。
また、ニューヨークの経済・政策調査会社ロジウム・グループの最新の報告書は、中国の政策銀行が戦略的資産の支配権と引き換えに融資を帳消しにしたことについては非常に限られた証拠しか出ておらず、むしろ中国は負債に対する再交渉を行っていると指摘。これまで世界15ヶ国と再交渉し、そのうちのほぼ半分はアフリカ諸国だった。「債務の罠」説は、過去20年の間に中国の台頭でアフリカでの影響力を失ったアメリカが、中国を脅威と見たことから出てきたものだとクオーツは指摘している。
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