日米豪印「クアッド会議」開催 鮮明になる「対中国」
今月上旬、東京で日本、米国、オーストラリア、インドの4ヶ国外相による安全保障会合「クアッド会議」が開催されたが、米国のポンペオ国務長官は冒頭から、「共産党の搾取、腐敗、威圧からパートナーを守らなくてはならない」と中国を強く非難した。クアッド会議は、第1次安倍政権の2007年5月にマニラで同4ヶ国が会談を行ったことが始まりであるが、ここまで「対中国」色が強く出たことはない。筆者も4年前に所属していたシンクタンクの仕事でインドを訪問し、インドと米国、オーストラリアのシンクタンクと正にクアッドの国際会議を実施したが、政府とシンクタンクで違いはあるにせよ、4年前といまでは「対中国」という意識がかなり違うように思う。
◆対中国で接近する日米豪印
まず、ポンペオ国務長官の冒頭の発言にもあるように、米中対立は新型コロナウイルスの感染拡大によってさらに悪化している。今年1月以降、中国・武漢をはじめとして新型コロナウイルスが世界中に広がり、米国が感染者数と死亡者数でその最大被害国となっている構図も大きな要因だろう。貿易摩擦だけでなく在外公館の閉鎖にも発展するなど、東京でのポンペオ国務長官の冒頭発言からは、米国の溜まりに溜まった中国不満が如実に見える。
オーストラリアの対中姿勢も大きく変化している。近年、オーストラリア国内ではサイバー攻撃や機密情報漏洩などで中国への懸念が広がってきたが、新型コロナウイルスの感染拡大や香港国家安全維持法、さらには中国に滞在する豪国籍者が不当に拘束されたこともあり、オーストラリアの対中懸念はピークに達している。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが今月6日に発表した情報によると、オーストラリアでは中国に対して否定的な見方を持つ人が、去年の57%から81%に大幅に増加している。
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