イスラエルとアラブ諸国の国交正常化 トランプ大統領の狙い

ホワイトハウスで開かれた国交正常化の合意文書署名式(15日)|Alex Brandon / AP Photo

 トランプ大統領が主導する形で9月15日、イスラエルとUAE、バーレーンの国交正常化を記念する署名式が開催された。署名式にはイスラエルのネタニヤフ首相、UAEのアブドラ首相、バーレーンのザヤニ首相が出席し、今後イスラエルとの間で外交、経済の分野で関係が急速に進むと思われる。これを主導したトランプ大統領の狙いはどこにあるのだろうか。

◆11月の大統領選における支持拡大
 まず、現在の大統領選ではバイデン候補がトランプ大統領をリードする展開が続いている。単純にこのまま行けばバイデン候補が勝利し、トランプ政権は1期で終了することになる。本番まで2ヶ月を切るなか、トランプ大統領としては何としても支持拡大に努めなければならず、そのためにも支持基盤であるキリスト福音派(親イスラエル)からの支持を確実なものにし、選挙戦を勝ち抜きたいはずだ。イスラエルとアラブ諸国の国交正常化は、トランプ大統領にとって国内向けアピールなのだ。4年前の選挙戦のときも、当時は民主党のヒラリー・クリントン氏の優勢が伝えられていたが、ふたを開ければトランプ大統領の勝利だった。トランプ大統領としては再び劣勢から勝利するシナリオを描いている。

Text by 和田大樹