感染増加でもロックダウン避けるべき? 各国がその有効性を再考

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 新型コロナウイルス感染の第2波が世界各国を襲っている。第1波の際にはウイルスに関する十分な知識もないまま、とにかく感染を止めようとロックダウンをし、結果として経済や社会に甚大な被害を与えてしまった。この経験を踏まえ、ロックダウンに頼らず健康と経済のバランスを取るほうがより現実的だという意見が出ている。

◆中国、イタリアに追随 非推奨のロックダウンが主流に
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、実は人の動きを止めるロックダウンの手法は、これまでの感染症対策の標準ではなかったと述べる。過去のインフルエンザのパンデミックでは、アメリカでは施設の閉鎖やイベント禁止はあったが、自宅待機やビジネスの閉鎖などは命じられなかった。2017年の米疾病予防管理センターのガイドラインでも、自宅待機やビジネス閉鎖などは推奨されていなかったという。

 中国の武漢やイタリアでのロックダウンを見た疫学者たちは、当初は不要な対策だと考えたらしい。ところが、イタリアで医療崩壊が起きたことで、新型コロナがインフルエンザより危険だと気づき、意見を変えたという。台湾、韓国、香港などは早期に中国との行き来を止め、検査、追跡、隔離でロックダウンなしでウイルスを制圧した。しかし、すでに感染が広がった国々ではこのような対策では手遅れと判断し、ロックダウンが最善策として採用された。

Text by 山川 真智子