マスク抵抗で逮捕者も アメリカ 政治的論争にまで発展

Ted S. Warren / AP Photo

 アメリカが新型コロナウイルス感染者数世界一になってしばらく経つが、感染拡大の勢いは衰えていない。ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、同国の累計感染者数は311万7946人、死者は13万3290人にのぼる(7月10日午後1時34分時点)。

 同国では当初、ニューヨークが感染の中心地だったが、同州ではロックダウンやマスク着用、無料検査の提供、訪問者の検疫など感染拡大防止策を徹底し、7月6日の新規感染者数は98人と、人口の最も多い州にしては全米最低レベルである。そんなニューヨーク州とは逆に、これまでマスク着用をはじめ感染拡大策が緩く、経済再開を急いだ南部州で感染者の急増が見られている。しかしこんな事態に陥っていても、アメリカではいまだにマスクに対して抵抗を持つ人が多く、マスク着用を政治や憲法問題に転嫁して各地で騒動を起こしている。
  
◆マスクを着けず逮捕される事件が頻発
 ニューズウィーク(電子版)によると、ネバダ州ではカジノにマスクを着けず入り、警備員に注意を受けた後もマスク着用を拒否した同州在住男性が逮捕された。逮捕された男性は警察に対し、「マスクを気にしていなかったし、着ける気もなかった」「友人の警官を呼んで欲しい」などと話したという。記事によると、同州知事は先月24日、住民および訪問者に対し公共の場所におけるマスク着用令を発令した。

 またイリノイ州では、ホームセンター「ホーム・デポ」でマスクを着用していなかった客の女性がほかの客と口論になり、「ホワイト・パワー(白人の力)」と叫んで乱暴を働き逮捕されたと地元紙ノースウエスト・ヘラルド(電子版)が報道。 

 また、ハワイの現地紙ホノルル・スターアドバタイザー(電子版)によると、ハワイ州カウアイ島では商店内でマスク不着用を店員に注意された男性が、「銃を持って戻る」と店員を脅し逮捕された。同島では4月半ばに自宅以外のほとんどの場所におけるマスク着用令が発令されていた。

Text by 川島 実佳