ロボットウェイター、オランダのレストランに コロナ禍の救世主に

AP Photo / Peter Dejong

 私たちは、いつでも完璧なタイミングでロボットを頼りにすることができる。

 オランダの海沿いにある街、レネッセ。ここでレストランを経営するシャオソン・フー氏は昨年秋、中国のレストランでロボットのウェイターに出会った。その瞬間、同氏は自分の店に必要なものが何か、はっきりわかったという。しかしそのときはまだ、ロボットたちがどれだけ有用であるか知る由もなかった。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、それまで「風変わりなアイデア」だったものが、陰鬱な未来の拠り所に変わったのかもしれない。いまは誰もが他者と接触することを恐れ、ウェイターがテーブルを片づけていると客は緊迫感とストレスを感じる。

 フー氏が経営するレストラン「ロイヤルパレス」で働く娘のリア氏は、「彼らがやってきたのは、ちょうどその直前でした」と話す。

 白と赤の光沢のある2機のロボットは、ダイニングエリアの床を滑らかに動き回っている。レストランが再開すれば、バビ・パンガンやチャーシューなどの中華料理やインドネシア料理(各15.5ユーロ、約1890円)をテーブルまで運んでくれる。

「ハロー、ウェルカム」とロボットは言う。いかにも、事前にプログラムされたかような声だ。

 彼らの仕事には、客へのあいさつ、飲み物や料理の提供、そして使用済みのグラスや食器の返却が含まれる。チップが必要かどうかは不明だ。

AP Photo / Peter Dejong

 ロボットを使うことで確かに叶うことが一つある。ソーシャルディスタンスの確保だ。「新型コロナウイルスの感染予防に必要な1.5メートルの距離を維持するため、ロボットを使います」とフー氏は言う。

「人間味がない、など否定的な反応もありました」とリア氏は話す。しかし、6月に入ってオランダのロックダウンが緩和され、レストランが再開された折には、顧客が何を求めるかを示す存在になるかもしれない。

 できるだけ人間に近づける試みとして、ロボットの1つは首にシフォンスカーフを巻いている。さらにインスタグラムでは2台の名前を募集するコンペを開催中だ。「まだ気に入ったのは出てきていませんが、RoとBot、というのは嫌ですね。普通の名前をつけたいと思います」とフー氏は語る。

 オランダでの新型コロナウイルス感染拡大により、飲食店は2ヶ月以上休業を余儀なくされるなど、大きな影響を受けている。6月1日時点で営業再開が認められたが、一度に顧客数は最大30人までという制限が設けられている。ロイヤルパレスでも店のレイアウトを変更せざるを得ないため、土壇場になってロボットにプログラミングをするフロアプランを調整することになるかもしれない。

 また、フー氏の一家が店を構えるゼーラント州南部で、「ロボットが若者の仕事を奪っているのでは」という苦情を言われるのは心外だという。ここは主要都市から離れた郊外であり、そもそも従業員を集めるのが難しいのだ。

「彼らは私たちの仕事を助けてくれます。私たちはバタバタしていることも多く、テーブルの片付けなどロボットに手を貸してもらっています」とフー氏は語る。また、人間の手が空くことで、顧客一人ひとりとより深く接することができるという。

「私たちが消えてしまうわけではありません。まだここにいます。この業界は、必ず人間が必要とされるでしょう」とリア氏は言う。

ロボットに適応することは、たとえ自分のロボットであってもやはり難しい。「私たちとしては、どんなことが有効なのか、まだ見極めようとしている段階です」

By ALEKSANDAR FURTULA and RAF CASERT Associated Press
Translated by isshi via Conyac

Text by AP