自国に帰れない人々 クルーズ船で自殺者も 新型コロナウイルス

Matilde Campodonico / AP Photo

 新型コロナ感染拡大防止策として取られた各国の都市封鎖措置は、世界的に緩和に向かいつつある。しかし、国境封鎖に関しては、どこも依然として継続中で、帰国を希望しながらも、いまだ自国に戻れない人々がいる。

大陸を越え新型コロナの感染舞台が広がるに従い、2月半ば以降、国境封鎖に踏み切る国が急増した。国境を閉ざすとはいえ、自国民は入国可能とされるのが普通であった。しかし当初より、交通手段がないなどの理由で帰国が困難となるケースも多くみられ、国がチャーター便を手配する例が少なくなかった。

◆一時帰国をあきらめる外国赴任者
 ひとまずは、誰しもが落ち着く場所に落ち着いたように見えるが、仕事や家族を理由に自国以外の国に住む人はまだ多くいる。例年であれば、夏季休暇には自国に一時帰国する海外赴任者たちだ。

 20 Minutes紙(5/12)によれば、国外で暮らすフランス人の数は約350万人だが、今夏の一時帰国の可否はいまだにはっきりしない。同紙取材班も、内務省と外務省の間をたらいまわしにされ、いまだに確たる国の方針を聞けていないという。

 しかし、ロサンゼルス総領事の「我々の選挙区に通常居住しているフランス人は、衛生的理由により、できるだけ国際移動を避けてほしい」(20 Minutes)という発言や、北米在住フランス人を代表するレスキュール議員の「やむを得ない理由以外では、できるだけ(帰国を)減らすよう勧めたい」(同)という発言はひとつの示唆となるだろう。

 実際、同紙も指摘するように、フランス入国の際、どの国からの帰国者が14日間の隔離対象となるかもいまだに決まっておらず、多くのフランス人は今夏の一時帰国をあきらめざるを得ない状況にある。

Text by 冠ゆき