ヨーロッパおよびアフリカの約20ヶ国の首脳陣は、「アフリカのすべての国々を含む世界全域で勝利を収めない限り、このパンデミックに終止符を打つことはできない」として、アフリカにおけるコロナウイルスへの対応推進に向けた大規模かつ国際的な取り組みの実施を求め、共同で要請書を発表した。

　フランス、エチオピア、ドイツ、南アフリカなどの首脳陣が署名し、フィナンシャル・タイムズ紙が発表した要請書は、公私を問わずすべての債務について、パンデミックが終息するまでの返済猶予を即時に設けるなど、大がかりな対策の実施を求めるものだ。

　アメリカ、中国、インドをはじめとするG20諸国の財務大臣らが経済協力について議論する4月15日の会議に先駆け、要請書が発表された。

　アフリカ諸国の当局はここ最近、数十億ドルの財政援助を求めるとともに、需要のひっ迫する医療機器をめぐっては、世界の富裕国との競争において勢力を伸ばすべく大々的な協力体制をとっている。アフリカ連合は支援の結集に向け4人の特別大使を任命。さらにアフリカ大陸の54ヶ国が、医療品をより手頃な価格で大量に購入できるようなプラットフォームを設立した。

　アフリカ大陸の人口は13億人とされるが、感染者数は合わせて1万6,000人を突破している。医療の専門家らの指摘によると、アフリカ大陸におけるパンデミックはアメリカやヨーロッパから数週間遅れる形で発生しており、感染者数の増加傾向がヨーロッパのそれと似ているため警戒が必要だ。

　世界がコロナウイルスのさらなる拡大に身構えるなか、共同で発表された要請書では、医療体制が概して脆弱であるアフリカを支援せず、自力での克服を強いれば、あらゆる地域に危険が及ぶだろうと指摘している。

　要請書では世界銀行と国際通貨基金（IMF）に対し、「これまでにない取り組みが必要だ」と直に訴えかけ、ウイルス対策に必要な資源をアフリカに届けるには、「少なくとも1,000億ドルを投じた大規模な景気刺激策を講じなければならない」としている。

　IMFは4月13日、アフリカの19ヶ国など世界の最貧困諸国とされる25ヶ国におけるパンデミックへの対応を推進するため、債務の返済を6ヶ月間猶予するとし、5億ドルの拠出を承認した。

　そのような援助の呼びかけが、かつてないレベルで広まっている。フランシスコ教皇はイースターのメッセージで、世界の最貧困諸国はパンデミックにより最も大きな打撃を受けており、「見捨ててはならない」として、債務返済を免除するよう呼びかけた。

　フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、4月15日に放送されたラジオ・フランス・アンテルナショナルのインタビューで、2012年には30％だったアフリカの対GDP債務比率が現在は95％にまで増加していると指摘した。「アフリカがこの医療危機への対応力を強化できるようにするため、支援の提供は必須だ。そして経済面でも、この危機に対応できるよう手助けしなければならない」と述べている。

　さらにマクロン大統領は、これは人間の道徳的義務であるとし、アフリカ諸国のおもな債務先である中国にも支援を求めた。最近では、G20首脳陣によるテレビ会議の場でも同様の呼びかけを行っている。

　国連アフリカ経済委員会によると、石油価格の下落によりナイジェリアやアンゴラなどの石油輸出国が最大650億ドルの減収となるなど、多数の国ですでに停滞傾向にある経済成長がパンデミックを受けさらに大幅に落ち込む恐れがある。国連開発計画アフリカ担当局長のアフナ・エザコンワ氏は、「前代未聞の状況により、財政は完全に崩壊してしまう」と述べている。

　ヨーロッパのG20全加盟国首脳が署名した今回の要請書では、欧州連合が計画する拠出誓約会議の5月開催を支持している。

　また、パンデミックによりアフリカ大陸の飢餓やマラリア、HIVなど、コロナウイルス以外の危機に対応するための資源が枯渇してしまうのではという懸念も広がっており、人道主義団体に対し援助予算を確保するよう求めている。

　さらに要請書は、国連世界食糧計画について、アフリカでもロックダウンを実行する国が増えていることを受け、食糧をはじめとする必需品を難民や移民も含めた人々に届ける取り組みを牽引すべきだとしている。ロックダウンの影響により、数百万人もの非正規労働者や日雇いの仕事でどうにか食いつないでいる人々が打撃を受けている。

　要請書には「どの地域も単独ではCOVID-19に打ち勝つことはできない。アフリカで勝利を収めることができなければ、ウイルスはまた世界各国で猛威を振るい続けるだろう」と記されている。

By CARA ANNA and AYA BATRAWY Associated Press
Translated by t.sato via Conyac