日本は慢心している? 花見に浮かれる人々、憂慮する海外メディア

Koji Sasahara / AP Photo

 日本でのコロナウイルスの感染者が急増している。諸外国と比較して抑制に成功していると見られていたが、ここ数日で状況は急変。東京都の小池百合子知事は25日に週末の外出自粛を要請し、関東圏内の各県知事も東京への不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。実はここ数日、花見などに外出する人々が目立ったことから、海外紙は日本の気の緩みを憂慮する記事を掲載していた。潜伏期間を考慮すると今回の急増の直接的な原因とは限らないが、外出増による今後への影響が懸念される。

♦︎桜に浮かされて
  米ワシントン・ポスト紙(3月24日)は、陽気と咲き誇る桜に誘われ、人混みに出かけてしまう人が東京で目立っていると指摘している。寺などは花見客で賑わい、レストランとバーも盛況だ。みな一様に春先の高揚感に浮かされていると記事は述べ、「そしてこの首都は、まるで社会的距離の保持はもう十分だといっせいに判断したようだった」と、コロナウイルスが忘れ去られたかのような状況を表現する。

 人々を外へと誘うのは桜だけではない。大規模なイベントの自粛要請が出されるなか、格闘技イベントのK-1はさいたまスーパーアリーナでの興行を強行して批判を浴びた。6500人が会場に詰めかけたが、これは埼玉県の中止要請に反するものだった。また、スポーツ関連ではオリンピックの聖火を「復興の火」として展示する仙台のイベントに5万人が押し寄せた。これらの事例をワシントン・ポスト紙は伝える。

 英タイムズ紙(3月24日)は同様に花見や聖火見物などの事例をあげたうえで、「ロンドンやニューヨーク、そしてパリの危機的な空気感とは裏腹に、東京という都市では依然として、ちり一つない公園にポイ捨てをすることの方が、死につながる疫病を広めることよりも重大な社会への脅威とみなされている」と述べる。ふだんは衛生管理の行き届いた日本において、防疫意識の低さをウイットを交えて伝える内容だ。

Text by 青葉やまと