ホームレスの集団感染を防げ、米自治体が奔走 全米に57万人

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、アメリカでは多くの都市がロックダウン状態に入っている。市民は外出自粛を求められているが、住む家を持たないホームレスは路上生活を続けている。彼らの間で爆発的感染が起こらないよう、自治体が対策に乗り出した。

◆路上にあふれるホームレス 感染の危険大
 アメリカには、56万8000人のホームレスがいるとされる。最も多いカリフォルニアで15万人以上、ニューヨークでは9万2000人に上る。テキサス、フロリダ、ワシントン州でもそれぞれ2万人以上はいるとされている(政治紙ザ・ヒル)。
 
 ロサンゼルスでは集会などが禁止されているが、ホームレスの人々はいまだに路上生活を続け、テント村のようになった場所に固まって生活している。感染の危険は高いが、シェルターは満員で収容は困難だ。図書館のような公共スペースも閉鎖され、ホームレスの行き場はほとんどないという(ウェブ誌『Vox』)。

 自治体は住民に外出を控えるよう要請しているが家のない人には無理だと、あるホームレス支援団体の創設者はヒル紙に訴える。ホームレスがウイルスにさらされる危険性は高くなり、その結果他者を感染させる可能性も高まると主張している。低所得者への住宅供給を支援する団体の代表も、住宅はヘルスケアに直結すると述べる。路上やシェルターに住む自主隔離が困難な人々がいれば、パンデミック時にコミュニティ全体の健康を維持することができなくなるとしている(Vox)。

Text by 山川 真智子