「いまこそベーシックインカム」コロナ不況で注目されるアンドリュー・ヤン氏の主張

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 18歳以上のすべての国民に毎月1000ドル(約10万円)を支給するユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の実現を唱え、米民主党の大統領候補指名争いを戦ったアンドリュー・ヤン氏が、いまこそUBI給付のときだと主張している。新型コロナウイルス感染が拡大するいま、同氏と類似の考えを持つ専門家も多く、タイムリーな話題となっている。

◆撤退後もあきらめず、UBI実現に次の一手
 ヤン氏は45歳のアジア系アメリカ人。ビジネスマンとして成功していたが、「自由の配当(Freedom Dividend)」と呼ぶUBIを公約のメインに掲げ民主党の指名争いを戦った。2月のニューハンプシャー州予備選で撤退するまで、民主党のリベラル層、自由主義者、現状に不満を持つ共和党支持者の心を捉え、「ヤン・ギャング」と呼ばれる熱心な支持層を形成した異色の候補として注目を浴びた。

 撤退後は、CNNの大統領選候補者討論会のコメンテーターに起用され話題となったが、非営利団体Humanity Forwardを立ち上げ、「人間中心のアメリカ」を作るためロビー活動を行うと発表した。活動の一つとして、UBIへの理解を深めることを上げており、10ドルの寄付を同団体にした人のなかから、1年間にわたり月1000ドルを受け取る人をランダムに選ぶとしている。また、UBI実験のため、ニューヨーク州の一都市に、50万ドル(約5250万円)を寄付することも表明している(ウェブ誌『Vox』)。

Text by 山川 真智子