「もちアイス」が欧米で人気 多彩な風味、配達サービスも

パリの「GAIA」の餅アイス|©GAIA

 1981年に登場した日本製のアイスクリーム「雪見だいふく」は長らく冬季限定発売で、筆者も冬に、この特徴あるアイスクリームを食べるのを楽しみにしていたものだ。薄い餅で包んだこのアイスクリームが日本食レストランを通じて、以前から海外に広まっていることは知っていた。この餅アイスが、最近、あちこちでブームになっている。

◆ヨーロッパで本格生産、販売
 日本人が好きなあんこは、日本以外の国では「好き」という人もいる一方、「苦手」という声もよく聞く。おそらく、大福やどら焼きやたい焼きがヨーロッパで大量に売れることはないだろう。餅アイスは、やはり中身がアイスクリームだから「おいしい」と感じる人が多いのだろう。その餅アイスが、大量生産され始めている。

 ドイツでは、「O-Mochi」が、全国展開のスーパー、レーヴェの3000以上の店舗、また地下鉄のショップなどで売り出されている。1箱6個入り約600円。現在バニラ、抹茶、イチゴ、チョコ、ピスタチオ、ココナッツの6風味で、今後、増やしていくという。アイスクリームはイタリアンジェラートという点がポイントだろう。「O-Mochi」はスタートアップSD Sugar Daddiesが製造している。「O-Mochi」は、先述のスーパー、レーヴェのスタートアップ・アワード2019で、270以上の応募のなかから優勝した。同社はドイツ初のクッキーアイスクリームも開発・販売している。 

 イギリスでは、「Little Moons」が広まっている。塩キャラメルや柚子レモンなど12風味に加え、2019年にはチョコチップ入りアイスにした風味を新発売した。1箱6個入320円ほど。全国のテスコやホールフーズ・マーケットなどのスーパーで買えるほか、ロンドン最大級のショッピングモールのウェストフィールドや高級デパートのセルフリッジズでは、ばら売りしていて、お好みの風味と数を選べる。Wongきょうだいが2010年から売り始めた。開発には2年かかったそうだ。他国にも展開している。

 フランスでは、昨年からスーパーのフランプリが上の「Little Moons」を販売しているが、以前から餅アイスはあった。ファッション雑誌も、餅アイスを取り上げている。パリのナッツ専門店「La Pistacherie」が販売したり、個人で起業してデパートで売ったりデリバリー販売したりしている。参入者が増えていて、すでに衰退した製造者もいるようだ。最近では「GAIA」が、1月からパリ内でのデリバリー販売を始めた。4、8、12個から選んで届けてもらえる。


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Text by 岩澤 里美