白夜の祭に隠された狂気に戦慄する……映画『ミッドサマー』
ホラー映画『ミッドサマー』は、ジャンルの既成概念を打ち壊す挑戦的な作品だ。恐怖映画の常識に反し、主要なシーンを陽光降り注ぐ屋外で構成しながらも、それがかえって効果的に不安と恐怖をあおっている。映画批評サイト『ロッテン・トマト』では批評家による支持率が8割を超えるなど、反応は上々だ。日本公開が2月21日に迫るが、すでに昨夏に上映されたアメリカやイギリスなどでは、静かに不安感を高める独自の演出に賛辞が相次いでいる。
♦︎陽気な祝祭、しかし何かがおかしい
アメリカで大学に通う女性・ダニー(フローレンス・ピュー)は、ボーイフレンドのクリスチャン(ジャック・レイナー)とのぎこちない関係に悩んでいた。さらにダニーの妹が両親を巻き込んで一家心中をはかったことで、二人の関係はいっそうぎくしゃくしてしまう。ダニーと距離を置きたいクリスチャンは内緒で友人たちと旅行に出ようとするが、ほどなくしてダニーの知るところになってしまう。こうしてダニーとクリスチャンは、しぶしぶダニーの同行を承諾したクリスチャンの大学仲間たちとともに、フィンランドで90年に一度開かれるという祝祭に赴くこととなった。
白夜の現地は夜通し明るく、特別な白い衣装で着飾った参加者たちも相まって幻想的な空気を醸し出している。しかし、怪しい食べ物が振る舞われ奇妙な儀式が繰り返されるうちに、徐々に違和感が高まる。ダニーたちが老人たちについての恐ろしい秘密に気づくまでに、そう長くはかからなかった。
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