「地球のために飛行機に乗らない」欧州に広がる「飛び恥」、列車利用が増加

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 航空機は大量の二酸化炭素を排出するため、空の旅をやめようという動きが欧州で広がりを見せている。このコンセプト発祥の地はスウェーデンだ。航空機利用で地球温暖化を促進してしまうことに罪悪感を持つことを「Flygskam(英語ではflight shame、日本語では「飛び恥」と訳されている)」と呼び、時間もコストもかかる列車や船の旅が見直されている。

◆便利な空の旅。実は温暖化を促進
 アイリッシュ・タイムズ紙に寄稿した旅行ジャーナリストのManchan Magan氏は、空の旅の歴史は比較的新しく、初のチャーター機が飛んだのは1950年代だと解説する。その後、航空機利用は飛躍的に増え、1990年から2006年の間に、EUだけでその二酸化炭素排出量は87%増加した。

 スウェーデンのルンド大学で気候変動を研究するキンバリー・ニコラス氏は、航空機利用は二酸化炭素を大量に排出する行為で、それをやめることは大きな排出削減につながると述べる(NBC)。気温の上昇を2度以下に抑えるためには、2050年までに全世界で一人当たりの二酸化炭素の年間排出量を2.1トン以下にしなければならない。しかし、ロンドンとニューヨークを往復するだけで、年間上限の4分の3以上となる平均1.6トンの二酸化炭素が排出されてしまうと同氏は述べる。上述のMagan氏は、航空機は乗客一人1㎞あたり列車の20倍の二酸化炭素を排出する、としている。

Text by 山川 真智子