マンガは大英博物館にふさわしくない? Manga展に賛否 世界に浸透する日本文化

Paul Hudson / flickr

 5月23日から8月29日まで、世界最大級の博物館である大英博物館で、マンガ展が開催されている。アニメやコスプレも合わせて紹介されており、日本国外で行われるマンガ関連の展示としては最大規模となる。英国人はマンガをどう捉えているのだろうか?

◆偉大な遺産と同列の扱い、違和感示す英紙
 大英博物館というと、古代ギリシアの大理石彫刻エルギン・マーブルや古代エジプトのロゼッタ・ストーンなど、歴史的に貴重な遺産や美術品を所蔵している。そのため、せいぜいここ100年くらいで花開いた文化である「マンガ」の展示会をわざわざ大英博物館で行う意味があるのか、と疑問を呈した英国メディアも少なくない。

 英紙ガーディアンは5月21日付のレビュー記事で、大英博物館のマンガ展を5つ星中2つ星と評価。「いまのマンガは日本で絶大なファンベースを誇っているかもしれないし、世界でもファンが増え続けているかもしれない。しかし芸術としては、河鍋暁斎や月岡芳年のような力強さや大胆さには程遠い」とこき下ろした。大英博物館のマンガ展では、12〜13世紀の「鳥獣人物戯画」から野田サトルの『ゴールデンカムイ』や尾田栄一郎の『ONE PIECE』など最近の作品にいたるまで、幅広い時代の作品を網羅している。また。葛飾北斎を「マンガの父」として紹介している。ガーディアンは、現代のマンガ作品が19世紀の名作と同じ流れで展示されていることへの不満を表現。展示会は「偉大な博物館の意義を放棄する悲喜劇」だと締めくくった。

 また英紙テレグラフでは、レビュー記事で5つ星中3つ星をつけ、「マンガはロダンや古代ギリシャと同じなのか?」として、これらの作品展が行われた同じ場所でマンガ展が開かれていることへの違和感を述べた。

Text by 松丸 さとみ