男性でも女性でもない、第三の性「ノンバイナリー」とは

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 最近、日本でもLGBTQについて取り上げられることも多くなり、言葉も少しずつ認知されるようになってきた。一方でそれとはまた少し違った性に関する言葉「ノンバイナリー」が海外では浸透しつつある。誰でも、生まれた瞬間に持ち合わせている体の特徴で「男」か「女」のどちらかに判断されるが、自分が男でも女でもない、もしくは両方を持ち合わせている性別のことを「ノンバイナリージェンダー(non-binary gender)」という。

 トランスジェンダーは、自分の生まれ持った性別と自分の内面の性別が食い違うことを指すが、ノンバイナリーは「男性でもあり、女性でもある、もしくは男でも女でもない、どちらの性別にも分けられない人」のことである。より詳しく言うと、自身の性別を男性・女性のどちらかに限定することができず、男性・女性の両方が混ざり合っているように感じたり、その中間にいるように感じたり、もしくはまた別の感じ方を持っている場合もある。彼ら彼女らは、男性のような気分になる日もあれば、女性の服を着て化粧をしたい日もある。第三の性別として「Xジェンダー」やジェンダーフルイド(gender fluid)、ジェンダー・エクスパンシブ(gender expansive)など呼び方はさまざまである。

◆国よって変わるノンバイナリーの認識
 日本では、もちろん現段階では男性か女性かの性別しか存在せず、戸籍またはパスポートや身分証明書でも必ず性別は男か女の二択である。しかし、海外では少し状況が異なる。現在、米国の13州と2つの都市で、運転免許証または出生証明書のいずれかでノンバイナリーを選択することができ、今後はさらに多くの州がそれを認める予定である。

 カナダでは、ジェンマ・ヒッキー氏が初めてノンバイナリーと記された公的な身分証明書を手に入れた。2017年に性の変更を申請したが放置され、最終的に州の最高裁判所に直接かけ合い、州政府はその申請を受理した。第三の性別の選択肢を要求した免許証、保険証、出生証明書は全面的に認められ、ヒッキー氏は性別欄に「X(エックス)」と記されたノンバイナリーの身分証明書を取得した。ヒッキー氏は、人権活動家として今年2月にも来日しカナダ大使館で講演。自身の今までの苦悩や葛藤を共有した。

Text by sayaka ishida