中・東欧での影響力を高める中国 拡大する「一帯一路」

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 中国の李克強首相は12日、クロアチア・ドブロブニクで開催の第8回中国・中東欧諸国首脳会議「16+1」に出席し、今後さらに中東欧諸国との間でインフラ整備や貿易を拡大していく方針を表明した。今回の会議には中国の影響力が顕著に見えるギリシャも参加し、来年は「17+1」として中国で開催されることも明らかとなった。
 
◆中国・中東欧諸国首脳会議とは?
 日本国内ではあまり知られていないが、中国・中東欧諸国首脳会議とは、一帯一路構想が発表された翌年の2012年から毎年開催され、中国と中東欧諸国16ヶ国(チェコ、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア、北マケドニア、アルバニア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、リトアニア、ラトビア、エストニアなど)が参加する。簡単に言うと、経済的には豊かとは言えない中東欧の国々が、中国からの経済支援をテコにインフラ整備などを進め、中国からするとそれによって域内での影響力を高めようとするものだ。

 すでにさまざまな経済プロジェクトが進行中で、セルビアではハンガリー・ブタペストまで通じる鉄道の近代化事業が進められ、モンテネグロではアドリア海のバル港からモンテネグロ・セルビア国境に続く高速道路の建設が急ピッチで進められている。また、昨年には、中国の国営銀行がブルガリアの地方自治体や企業を支援するため、ブルガリア開発銀行に5年間で15億ユーロを融資することを決定している。

Text by 和田大樹