中国経済の減速、労働者を圧迫 個人消費にも影響
冷え込みつつある経済によって生活が狂わされるまで、ユー・ミンガン氏にはまともな仕事があった。中国の製造会社に対し、株式公開に向けて支援を行う業務だ。
中国東部に位置する杭州市で会計士として働いていた25歳のユー氏は、2018年12月、会計監査業務への需要が減少したことが原因で解雇された。ユー氏は出費を抑え、切り詰めた生活を送る。今後は映画も外食もなし、コンピューターの購入は見送った。
「家賃は貯金から払っています」と、ユー氏は話す。
中国を率いる共産党が「低賃金の世界の工場」から「活気にあふれる消費者市場」へと中国を転換する後ろ盾として期待を寄せている都市部の労働者や企業家は、景気減速に圧迫されている。
新聞の見出しを飾る経済指標は、好調が続いているかのように見える。2019年の成長率は6%を超え、2018年のおよそ6.5%からわずかに落ち込むと予想される。しかし、これは増額される財政支出を含んだ数字であり、他分野における急激な減退を覆い隠すものである。国民はこの状況に動揺し、消費は落ち込む。そして景気減速はより深刻になりかねない。
中国政府のハイテク産業への野望をめぐって勃発したアメリカ政府との貿易戦争によって、雇用の喪失や、自動車や不動産、消費財の売上高下落について、人々の懸念が増大している。
「私自身の雇用が確保されるのか、心配しています。衣類の購入や休暇、スマートフォンの機種変更などあらゆる出費を切り詰めてきました」と、北京にある投資コンサルティング会社で働くホー・シーイン氏は話す。
友人たちが解雇されたとき、ホー氏(32)は不安になった。1人は新しい仕事を見つけたが、週6日勤務するよう雇用主から希望されている。1歳の息子を持つホー氏は「そんなに多くの時間を費やすつもりはない」と話す。