ロボットに仕事奪われる? 4人に1人の労働者にその可能性 米国
ブルッキングス研究所の新しい報告によると、ロボットがすべての労働者の仕事をこなすようになるわけではないものの、人工知能が既存の仕事の自動化を推進するため、アメリカでは25%の仕事が深刻な影響を受けることになるという。
ワシントン州に拠点を置くシンクタンクである同研究所は1月24日、およそ3,600万人のアメリカ人の仕事が自動化による消滅の危機にさらされていると発表した。つまり、現在のテクノロジーを駆使した機械ならば、少なくともそういった職務の70%を遂行することが可能であるというのだ。このような仕事で最も影響を受けるとされているのは、飲食店で働くコックやウエイター、短距離のトラック運転手、そして、事務職に従事する労働者たちだ。
ブルッキングス研究所の上級フェローであり、この報告の筆頭著者であるマーク・ムロー氏は、「これらの職務に就く人々は、現在の技能を向上させたり、新たな技能を習得したり、または早いうちに転職を検討する必要があるだろう」と語る。
ムーロ氏は、このような変化が起きるのは「数年後、ないしは20年以内」だとした。しかし、次に景気の低迷が訪れると、自動化は一気に加速するだろう。通常、企業は労働者を解雇し、コスト削減につながるテクノロジーの導入には前向きな姿勢を示す。
アメリカは、史上2番目に長い成長の途上にあり、雇用統計は経済が健全な状態であることを示しているとはいうものの、調査の結果、大勢のビジネスリーダーや経済学者たちは、アメリカが2020年に不況に陥る可能性があると示唆している。さらに、連邦政府機関の一部閉鎖によって、景気後退の懸念が生じた。
一部の経済状況調査では、同じような生産の自動化への移行が前回の不景気の初期にも発生していたことが判明した。この自動化への移行が2008年の金融危機が引き起こした「雇用なき景気回復」を助長していた可能性がある。
しかし、人工知能がもたらす新しい技術進化によって、産業用や倉庫管理用のロボットだけがアメリカの労働力の分布図を塗り替えるのではない。セルフレジを設置した売店や、コンピューター化されたホテルのコンシェルジュなどもその一翼を担っている。
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