「中国が米車関税引き下げ」誇るトランプ氏、冷たい米メディア「得するのは日欧」
アメリカが予定していた追加関税引き上げは凍結され、とりあえず貿易戦争を「休戦」することで手打ちとなった米中。ところがトランプ大統領は、中国がアメリカから輸入する自動車の関税を削減または撤廃することを約束した、とツイートした。米自動車メーカーにとって朗報だと言わんばかりだが、関税引き下げで得をするのはアメリカ以外のメーカーだと、現地メディアが見解を示している。
◆ビッグスリーに恩恵なし? 米国製でもアメ車とは限らず
現在中国は米国からの輸入車に40%の関税(通常15%、報復分25%)を課している。これが引き下げまたは撤廃されるなら、中国でのセールスは拡大すると考えたくなるが、米メディアは懐疑的だ。
ウェブ誌『Verge』は、恩恵を受けるとすれば、米中貿易戦争の結果、常に価格を調整せざるを得なかったテスラのような小さなメーカーだと指摘し、大企業へのメリットは少ないとしている。同誌は調査会社のデータを提示し、アメリカで生産されて中国に輸出される自動車の多くが、欧州や日本の自動車メーカーのものだと説明する。
2017年にアメリカから中国に輸出された上位20位までの自動車を見ると、米メーカーのものは7万6,074台だったのに対し、非米メーカーのものは18万6,618台だった。BMWやメルセデスベンツなどのドイツ車が他を圧倒している。今年10月までを見るとそのギャップは縮小したが、それでも欧州と日本のメーカーが11万4,936台なのに対し、米メーカーは8万6,624台だった。
ウェブ誌『Vox』も、現実はトランプ氏が考えるほど簡単ではないと見ている。米中貿易は、WTOのルールに則っており、「通常各国はその貿易相手を差別してはいけない」という「最恵国待遇」の原則が用いられるため、もし中国がアメリカへの自動車関税をゼロにするなら、他国へも同じ条件が適応される。そうなれば、米国車の売り上げは増えるかもしれないが、他国にとってもチャンスとなる。ピーターソン国際経済研究所のジェイコブ・キルケゴール氏は、中国人は米メーカーが力を入れる大きなピックアップトラックなどはあまり買わないため、日本、韓国、ドイツなどのほうが恩恵を受けるだろうとしている(Vox)。
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