「民主党がハッキング」共和党知事候補、投票2日前に主張 「利益相反」で物議も
11月6日、米国で中間選挙が行われる。今回は大統領選は実施されないが、米上院議員の一部、そして下院議員全員の任期が切れるため、今回の選挙を通して有権者による「審判」を受けることになる。また、州のトップである州知事を選出する選挙も複数の州で実施される。
その州知事選のなかでも今回の中間選挙で最も注目を集めているのが、南部ジョージア州の知事選である。その理由は、選挙管理を司る同州のブライアン・ケンプ州務長官が、その地位を退かないままで共和党候補として州知事選に出馬していることである。つまり、自分の出馬している選挙を自分で管理していることになり、これが「利益相反行為(Conflict of Interest)」として大きな問題になっているのだ。
この件については、ジョージア州出身で現在も同州に在住するジミー・カーター元大統領などから「ケンプ氏は州務長官職を辞職すべき」という声があがっている(10月29日付 ニューズウィーク(電子版))。
◆有権者抑圧の疑いをかけられた共和党候補
ケンプ氏は州知事選に出馬する一方で、選挙を司る同州州務長官として、同州選挙において有権者が投票する際、身分証明証の名前やイニシャル、住所などが、社会保障番号や自動車登録証など有権者本人の他の記録と完全に一致していなければ投票できないという「完全一致法(Exact Match Law)」を適用。10月9日付のAP報道によると、ケンプ氏は約5万3千人の主に少数民族、そのなかでも特に黒人の有権者登録を保留扱いとしていた。
黒人は通常民主党に投票することが多いうえ、ジョージア州知事選でケンプ氏と争っているのは黒人女性のステイシー・エイブラムス氏だ。もしエイブラム氏が当選した場合、ジョージア州初の黒人女性知事となる。
白人で共和党員のケンプ氏がこれほど多数の有権者登録を保留としていることで、ABCニュースの10月31日付記事によると、米自由人権協会(ACLU)や全米黒人地位向上協会(NAACP)など複数の団体から「有権者抑圧(Voter Suppression)ではないか」という声があがっていた。
そのような状況のなか、NBCニュースによる今月2日の報道によると、連邦裁判所は2日、ケンプ氏に対し、同氏が「米国民でない疑いがある」として保留扱いにしていた米国の新国民3,141人による投票を、米国民であることが証明できる場合には認めることを命令。また米国民である証明書は、同州の副記録事務官により1ヶ所の投票所でしか認証できないとされていたが、裁判所はケンプ氏に対し、投票所で働く職員が証明書を認証できるシステムを遂行するよう命令した。
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