米リニア計画、絞られるルート案 高まる期待「革命起きる」、根強い反対「金持ち専用」
米首都ワシントン近郊に日本のリニア技術を導入する計画は、6つ存在したルート案が今年に入ってからほぼ同一ルートを走る2案に絞り込まれ、さらに現実性を帯びている。しかし、通過地域の計画委員会が今月、懸念事項のリストを公式に提出するなど、地元には不安も根強い。
◆実現へ着々
首都ワシントン付近のリニア計画は、同地域から北東方面に広がる「北東回廊」と呼ばれる交通網を強化するものだ。第一段階では隣接するボルチモアまでを15分間で結び、追ってニューヨークに1時間で到達するよう延伸を行う。さらにボストンまで延ばす案も浮上している。
ボルチモア・サン紙(10月27日)は、計画の進捗を報じている。2015年にはオバマ政権により、2,800万ドル(約30億円)の環境調査費用が予算承認された。調査は昨年の夏から始まっており、2019年に完了予定。6つ存在したルート案は、今年に入ってから2本に絞り込まれている。いずれも既存の高速道路に沿って敷設し、全区間の3分の2がトンネルとなる予定だ。計画通り進めば、早ければ2019年にも建設が開始され、2027年に開業することを見込んでいる(ワシントン・ポスト紙)。
ボルチモア・サン紙の記事は「日本の未来的なリニア鉄道が、DCからボルチモア、そしてそれ以降への移動に革命を起こす可能性」と題し、実現可能性を強調している。日本で50年間研究開発を行なった技術であり、本格展開の準備は整っている。JR東海の取締役を務めるトーケル・パターソン氏は、「(ポイントは)最盛期が目前に迫っていることだ。いつの日か実現する『かもしれない』技術ではない」と胸を張る。
しかし、計画は順風満帆というわけではない。ワシントン・ビジネス・ジャーナル誌(WBJ)は、通過地域となるプリンスジョージズ郡の計画委員会が、懸念事項のリストを州交通局に提出したと報じている。
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