爆発物事件はメディアのせい? トランプ氏の「敵意やめよ」に、メディア一斉反撃

Manuel Balce Ceneta / AP Photo

 バラク・オバマ氏、ヒラリー・クリントン氏、ジョージ・ソロス氏など、トランプ氏とその支持者が嫌っているとされる著名人に、爆発物と見られる小包が送り付けられた。トランプ大統領はその行為を非難し米国民の団結を訴えたが、対立を生む報道をするメディアにも責任があるという見方を示した。これに対し、国内外の主要メディアが疑問を呈している。

◆事件はメディアのせい? CNNは反発
 トランプ氏は事件後「政治的暴力という脅迫や行為」を許す余地はアメリカにはないとし、団結を求めた。さらに「分断をつなぎ、人々をまとめる大きな国家的努力の一部として、メディアには礼儀にかなった論調をセットし、終わりなき敵意と変わらないネガティブさ、そしてたびたびの間違った攻撃とストーリーを止める責任がある」と述べた。これに対し、CNNのジェフ・ザッカー社長は、「ホワイトハウスは、メディアへの継続的な攻撃の深刻さをまったく理解していない」と反論している(AFP)。

 爆発物の1つがニューヨークの支局付で送られたために放送中全員が非難するという災難に見舞われたCNNは、ニューヨーク大学のRuth Ben-Ghiat教授の寄稿文を同局サイトに掲載した。同教授は、トランプ支持者集会でのCNNに対するヘイトの連呼はすでに常態であり、今回の事件でCNNの責任を問うというのは難しいのではないかと皮肉を述べている。トランプ氏と縁を切るのが本当の市民の責任であり、それこそが将来アメリカ人と民主主義を守るものではないかとしている。

Text by 山川 真智子