起業家の85%「整ったオフィス環境はビジネスに好影響」

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 起業を考える際に誰もが悩むのが、どのようなオフィス環境で始めるのかという点だ。自宅やカフェを利用してコストを最小限にして始める場合もあれば、小さいながらもオフィスを借りて始めたり、知り合いの会社に間借りすることもあるだろう。近年は、コワーキングスペースのようにオフィススペースを共同利用できる施設も増えており、選択肢になるだろう。こうした起業とオフィス環境の関係について、実際の起業家はどのように考えているだろうか。

◆オフィス環境はビジネスに影響を与えるか
 東急不動産が30~54歳の会社員経験のある起業家、男女600人を対象にした調査を行った。その結果によると、オフィスを借りて仕事をしている人の71.5%が、ビジネスが軌道に乗っていると回答している一方で、軌道に乗っていない人の2人に1人が自宅(カフェなどの利用含む)を利用していると回答している。そして『オフィス環境はどの程度ビジネスに影響を与えると思いますか』という質問に対して、79.0%が「かなり影響を与えると思う」「やや影響を与えると思う」と回答している。

 これらの結果は、ビジネスが軌道に乗っているからこそオフィス環境を整えられていると見ることもできるだろうが、起業家の多くはオフィス環境を整えることはビジネスの成功に影響を与えると考えているようだ。

◆整ったオフィス環境の条件
『オフィスを選ぶ際に重視したことはなんですか』という質問に対する回答として、「集中できる環境が得られること」が43.8%で最も高く、次いで「通勤の便、通勤時間の短さ」が33.2%、「ビジネスに有利な立地」が27.5%という結果であった。また、起業後の悩みとしてはあらゆるビジネスに関わることを、少ない人数(一人で起業をした場合には全て一人で)でやらなければならない点だ。『起業後に「自分がしなくてもいいと思う仕事」がどのくらい増えましたか』と質問に対して、51.5%が「増えた」と回答している。しかし、起業直後には、集中できて通勤の便が良く、ビジネスに有利な立地の条件を満たすオフィスを借り、来客対応や郵便物発送などの雑務を行なってくれるスタッフを雇用することは難しい。

 起業間もないタイミングでビジネスに集中するオフィス環境を手に入れる方法としては、近年増えているコワーキングスペースやシェアオフィスの活用が適しているだろう。受付や郵便発送代行、日々の掃除などサポートサービスを活用することで起業後の雑務の負担を軽くしながら、ワーキングスペースを共同利用することで高額になりがちな利便性の高い立地にオフィス環境を持つことができる。また、社員増にもフレキシブルに対応できる点も起業間もない企業にとっては魅力的だろう。

 起業に限らず、働く上でのオフィス環境は重要だ。近年はリスクマネーの供給増など起業に対する様々なインフラが拡充しているが、起業家のニーズにフィットするオフィス環境の拡充も、起業家を増やす上では重要であるだろう。

Text by 酒田 宗一